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ガザで懸命の医療活動を行う日本人医師が感ずるイスラエルの民族浄化政策

 「国境なき医師団日本」の会長・中嶋優子医師は11月14日、激しいイスラエル軍の攻撃がある中、ガザに入り、現在ガザ地区南部のハンユニスのナセル病院で医療活動を行っている。戦闘再開後、イスラエルがガザ南部の攻撃を強める中で「これ以上は無理、即時の停戦を求めたい」と語っている。

ガザで医療活動に従事する中嶋優子医師 https://news.yahoo.co.jp/articles/7686d2e2e55f464fcf8f5c191e31aa428440d3d1/images/000


 ナセル病院は廊下やロビーも患者や避難民であふれ、イスラエルの空爆が続く中、新たに受傷した人々が押し寄せるようになった。イスラエルの空爆は夜間もひっきりなしに行われ、北部から避難してきた医療スタッフもナセル病院で活動するようになっている。電力がない時はスマホの灯りを頼りに手術をしたこともあったそうだ。

 中嶋医師は、アラブ世界では多くの人が接する明るく人懐っこい子どもたちも命を落とし、病院は血まみれになった人、亡くなった家族の傍らで泣きじゃくる人々であふれていると語っている。「国境なき医師団」の医師たちもイスラエル軍の攻撃の犠牲となる中で、中嶋医師の無事を祈るばかりだ。

中嶋優子医師の無事を祈ります https://twitter.com/MSFJapan


 中嶋医師によれば、イスラエルが主張するように病院の地下にハマスの司令室があるとか、救急車を戦闘員の移動の手段に使ったりしているなどということは見たことも聞いたこともないそうだ。病院まで空爆や攻撃の対象になることは「(非人道的な)レベルの違う人道危機」だと形容する。イスラエル軍はナセル病院があるハンユニスを包囲するように軍用車両を集結させている。(イスラエル紙『ハアレツ』などの報道)イスラエル軍は「国境なき医師団」の車両までも攻撃するようになっている。

https://www.youtube.com/watch?v=DdtHwTq2F0g

 イスラエル軍はガザ住民たちに南部に退避するように促していたが、現在は南部の攻撃に全力を注いでいる様子で、住民たちはエジプトとの国境にあるラファに向かったり、海岸の方向に避難したりするなど、まさに民族浄化によって玉突き状態にある。

 12月4日、「国境なき医師団インターナショナル」の会長クリストス・クリストゥ医師は国連安保理に即時停戦を求める公開書簡を送った。その書簡には、

「イスラエルはガザの医療施設の保護をあからさまに、また完全に無視しています。私たちは病院が遺体安置所や廃墟と化すのを目の当たりにしています。これらの保護されるはずの施設が爆撃され、戦車や銃で攻撃され、包囲されて攻撃され、患者や医療スタッフが殺害されています。世界保健機関(WHO)は、医療活動に対する203件の攻撃を記録しておりますが、勤務中の医療従事者の少なくとも22人が死亡し、59人が負傷しました。「国境なき医師団」を含めて私たち医療従事者は完全に疲弊し、絶望に陥っています。重度の火傷を負った子どもたちの手足を、麻酔や滅菌した手術器具を使わずに切断しなければならなりませんでした。イスラエル兵による強制避難により、自分の命か患者の命かという想像を絶する選択を迫られ、患者を置き去りにしなければならなかった医師たちもいます。医療に対する残虐な攻撃を正当化する理由はまったくありません。」

と訴えられている。

大谷選手の移籍先も重要かもしれませんが、ガザのニュースは継続して伝えてほしいですね。 世論がガザ問題を忘れてしまいます https://www.ytv.co.jp/press/international/detail.html?id=38f9e6c859ea41eba02af28cfd3bf303


 パレスチナ人に対する医療活動を否定するようなイスラエル軍の攻撃は、ユダヤ人の「絶滅」を目指したナチス政権の人種政策を彷彿させる。ナチズムもシオニズムも、民族浄化の考えをもち、また迫害された人々は自らを抑圧した者たちの姿勢を自ずと身につける傾向をもつが、それは現在のガザにおけるイスラエルの民族浄化政策に表れている。シオニズムは、元々パレスチナに住んでいた人々の存在を否定し、排斥する傾向にあり、イスラエルの極右政党「ユダヤの力」の党首ベン・グヴィール国内治安相は、アラブ系イスラエル人やパレスチナ人のパレスチナ全域からの追放を主張している。ガザ全体を攻撃し、住民の8割以上が難民化したイスラエルの攻撃は「カハ・ナチ(ユダヤ人のナチス勢力)」と呼ばれるイスラエル極右のイデオロギーを端的に表している。

民族浄化など共通項が多い


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