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自衛権を逸脱するイスラエルの残虐行為を擁護したG7の大使たち

 イスラエル軍は8月10日、ガザ北部のガザ市の学校を空爆し、避難していた子どもや女性を含む100人以上が死亡した。とても平和の祭典、オリンピック期間中にすることとは思えない。こうした行為に自省がまるで見られないイスラエルはオリンピックに参加させるべきではなかった。

 また、このイスラエルを招待しなかったという理由で、長崎の平和祈念式典を米国のエマニュエル大使をはじめG7の大使たちはボイコットした。イギリスのロングボトム大使はイスラエルには自衛権があると述べたが、子どもや女性を殺害するイスラエルのガザ攻撃は明らかに自衛権の範囲を超えている。G7の大使たちのふるまいは長崎市に圧力をかけてイスラエルを招待させようとするもので、長崎の被爆犠牲者たちの慰霊よりも、イスラエルの体面を優先させるもので、日本国民とすればまったく納得できないものだ。

イスラエルが学校や病院などの社会福祉インフラを攻撃する場合、たいてい虚偽の主張によって行われていることが明らかになっている。イスラエル軍は昨年11月にガザ最大のシファ病院を攻撃したが、その際もシファ病院にハマスの地下司令室があるなどの理由で攻撃を正当化したが、その後「ワシントンポスト」の記者たちが調査した結果、シファ病院が軍事的利用された証拠は見つからなかったことを明らかにしている。

 学校に避難していた人々を無差別に殺害するのは1948年に国連総会で採択された人種・民族・宗教が異なる集団を殺害したり、迫害したりすることを禁じる「ジェノサイド条約」に違反するものだ。イスラエル極右はガザ地区からパレスチナ人を追放し、そこにユダヤ人の入植地を再建することを構想している。

長崎に行かなかった

 8月5日付のイスラエルのアラブ系紙「アラブ48」によれば、入植地問題にも責任をもつイスラエル極右のベザレル・スモトリッチ財務相はガザ地区にあった入植地グーシュ・カティーフの再建を求める人々の前で発言し、「入植地がなければ安全がない」と発言した。また、ガザに対する人道・食料物資の搬入についてイスラエルがしっかりコントロールしない限り、ハマスをせん滅することができないと述べた。つまりガザへの「兵糧攻め」を彼は正当化し、パレスチナ人が空腹で死ぬことは正当化され、倫理的なことだとも述べた。

スモトリッチ財務相

 ナチス・ドイツは、ソ連に侵攻する際に兵士の食料を確保するために、現地住民の飢餓を問題にすることなく、彼らから食料を没収することを考え、これを「飢餓計画」と呼んだ。そのためにドイツ軍のソ連侵攻で亡くなったソ連の民間人の数は700万人ともされている。また、ポーランドなどでナチス・ドイツが作ったユダヤ人ゲットーでは、ユダヤ人が口にできる食料は極めて限定され、肉やパンを入手できる人物は限定され、ユダヤ人の店には非常に限られた食料しかなかった。スモトリッチ財務相がガザに対して考えているのは、このナチス・ドイツがユダヤ人に対して行った「飢餓計画」と同様な措置だ。

 イスラエルは現在、1948年の建国以来史上最も極端で、過激な極右思想がイスラエルを支配するようになった。イスラエル民主主義研究所の世論調査では、18歳から24歳までの73%のイスラエル人が自らのことを右翼と考え、イタマル・ベングビール、ベザレル・スモトリッチなどの極右政治家たちが支持されるのは、イスラエル政治・社会の極右化を如実に示している。こうしたイスラエルの若年層がイスラエル軍の中核にいて、またイスラエルの入植活動を担っている。

食べものを求めるガザの子供たち https://edition.cnn.com/2024/03/07/world/gallery/gaza-hunger-malnutrition/index.html

 イスラエルの政治・社会が右傾化した背景には、国家の成立自体がシオニズムというナショナリズムに基づいて行われため、自ずとユダヤ人至上主義に至る背景があった。ナショナリズムは、他民族を犠牲にしてまでも、民族の栄光や発展、繁栄を考えるイデオロギーで、その極端な形態であったナチズムもドイツ国内のユダヤ人を2級市民扱いにすることで、ドイツ人の優秀ぶりを強調するものだったが、それと同様なナショナリズムの発展がユダヤ人のシオニズムにも起こり、極端に他民族に対して不寛容、民族の敵に対して、敵意を煽り、暴力を行使するような政治が行われるようになり、その民族の栄光を訴える手段が軍事力、武力ということになっている。

 G7の国々がイスラエルに対して行うべきことは、長崎の平和祈念式典にイスラエルの招待への再考を迫るようなイスラエルをスポイルする姿勢ではなく、イスラエルが国際法や人道主義のルールを守るように監視したり、圧力をかけたりすることだ。G7を含む欧米では、若い世代がイスラエルや、自国政府の対イスラエル政策の不義に気づき始めている。今の若い世代が欧米の政治社会の中枢に入った時に、欧米の対イスラエル政策も良い報告に変わることを願っている。

望月さん、天木さんが言う通り https://x.com/search?q=%E3%82%A8%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%82%A8%E3%83%AB%E5%A4%A7%E4%BD%BF%E3%80%80%E9%95%B7%E5%B4%8E&src=typed_query


表紙の画像は「ハマスの司令部を攻撃」イスラエル軍 ガザの学校攻撃で100人超死亡
https://www.youtube.com/watch?v=LTktIptwSQc

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