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札幌法務局の杉田水脈議員に対する「人権侵害」の認定と日本のマイノリティ問題

 国連女性差別撤廃委員会について自身のブログで参加したアイヌや在日コリアンを「チマ・チョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場。完全に品格に問題があります。」と揶揄したことについて人権侵犯があったと認定したことがわかった。

宇梶剛士さん アイヌ文化振興のPR大使に https://mainichi.jp/articles/20180826/k00/00m/040/066000c


 杉田議員は、党の会議で女性に対する性暴力などの犯罪に関連して「女性はいくらでもウソをつく」と発言しこともあった。また、この議員は、朝鮮人連行などの歴史を研究する大学教員などの活動が「反日」だとして科研費支給の停止などを要求してきた。

 自分と考えが合わない人は「反日」と形容し、マイノリティは揶揄する。「反日」は戦前の「非国民」にも通じる表現であり、杉田氏は自らの極端にナショナリスティックな考えに合わなければ「反日」として切り捨て、自由な学問研究をも阻害する姿勢を見せた。杉田議員は、インターネット上での誹謗、中傷対策に取り組む総務省の政務官だった。また、マイノリティに対する差別や蔑視観をもつようでは国民の代表である国会議員としての資質も疑われる。

『東京新聞』(2020年10月22日)の記事 https://jiganji.exblog.jp/29234369/


 政治アナリストの伊藤惇夫氏によれば、「杉田氏は比例名簿で異例の厚遇を受けたからこそ当選でき、その問題発言が容認されてきたのは、安倍政権の右翼的な国家観やムードを表していた(毎日新聞、2020年9月26日)杉田氏は旧統一教会でも講演を行ったことがあるが、統一教会の定義がわからないと述べている。

 少子高齢化が進む日本は外国人労働を受け入れていかなければならず、外国人との適切な付き合い方が求められるようになっている。労働力不足が深刻な日本はタクシー運転手の年齢制限が80歳にまで引き上げられようとしているが、このタクシー分野でも外国人労働のいっそうの導入が検討されている。

ダントツ1位ですね http://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/2021/03/20/gender-88/


 日本保守党を起ち上げようとしている百田尚樹氏は16年11月24日に「私たちの税金が中国人に使われるのはまっぴらです!本当に最低の民族!!!」とツイートし、韓国人については「彼女たちが整形手術を受けたいという理由は様々でしょうが、根本的なことを言えば、『自分の顔が気に入らない』という一点に尽きるのではないでしょうか。つまり敢えて乱暴な言い方をすれば、韓国人は『朝鮮人の顔』が嫌いなのです。」と書き込んでいる。この「政党」の✕のフォロワー数が自民党のそれを上回っているのだという。

 百田尚樹氏は新しい政党で保守本流を目指すという。百田氏のような主張が保守本流ならば日本の保守主義は相当レベルが低いと世界から笑い物になるだろう。しかし、ヘイト的な言動を行い、日本の極端なナショナリズムに訴えることが保守本流とは違う。東京大学の政治学者の宇野重規氏は元々あるよい箇所を残しながら問題のあるところを少しずつ改善していくことが保守主義の本来の姿であり、その代表的人物にイギリスのエドマンド・バーク(1729~97)を紹介している。新しい制度を考案してもそれが成功するという保証はない、だったら、過去の制度の良いところは維持して改良するところはしていこうというのがバークの考えだった。バークは自由を守るために既存の制度を利用しようとした。

 「保守するために改革(Reform)せよ」と説いています。現状が伝統から大きく逸脱していれば、改革を断行するのが保守というわけだ。
 杉田議員なども繰り返すヘイトスピーチなどの排外的行為は、ナチスのユダヤ人に対する人権侵害や、虐殺の背景ともなった。保育所増設や夫婦別姓、LGBT支援などを求める動きを「日本の家族を崩壊させようとコミンテルン(共産主義政党の国際組織)が仕掛けた」と断じる杉田議員の発言は荒唐無稽なものであり、杉田議員のような人物を政務官に起用したことは日本の恥を世界にさらすようなものだった。

 2020年7月12日、北海道白老町でアイヌ文化の発信拠点となる国立施設「ウポポイ」がオープンした。19年9月に閣議決定された政府のアイヌ施策の基本方針では「我が国が近代化する過程において、多数のアイヌの人々が法的には等しく国民でありながらも差別され、貧窮を余儀なくされたという歴史的事実を、我々は厳粛に受け止めなければならない」とあるが、まったくその通りである。

国立民族共生公園で行われる舞踊公演(提供:公益財団法人 アイヌ民族文化財団) https://www.visit-hokkaido.jp/feature/ainu


 しかし、その閣議決定の場にいたであろう麻生太郎副総理・財相(当時)は、同年1月に日本について「2000年の長きにわたって、一つの国で、一つの場所で、一つの言葉で、一つの民族、一つの天皇という王朝が続いているのはここしかない。いい国なんだなと。」と述べ、アイヌなど日本のマイノリティーに対する高い意識や考慮がないところを見せ、閣議決定自体も忘れたか、その内容をまったく聞いていないかのようだった。


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