週3日通学について改めて思うこと

八王子市で起きた高校生の痛ましい出来事。通信制高校という場所で働いていて、改めて考えたことがあります。週3日通学という点です。週3日通学なんて少なくて楽じゃないかという意見に対して、週3日は前向きな選択であり、数年登校という行動を経験してこなかった生徒にとっては、1日でも、3日でも通学するという行動から始めたいという意欲の表れでもあるという意見もありました。通信制高校で働いていて、週3日を選択する生徒は、登校に不安があるけれども、学校には来たいという方が選択する場合が多いのは事実です。しかし、この通学スタイルが本当に生徒のためになっているのか?というのは疑問です。

週3日通学は自分で曜日を選択する形式が多く、興味のある授業を自分で選んで登校するのがよくある方法です。興味のある授業なら来やすいでしょう、というのが親や中学校先生の解釈ですが、週1日や3日はかえって生徒に登校に対するプレッシャーを与えているというのが私の考えです。登校日を限定した生徒がそのままの登校スタイルで卒業する確率は感覚値ですが、見たことがありません。むしろ、週5日など登校日を多く設定している方が、バイトや友人関係のもつれなどから登校意欲をなくし、週5日→3日→1日→自主的な自宅学習と変わっていくケースの方が多く、登校日の選択制は新入生より、在校生が卒業するために活用するべき制度だと考えています。

登校日を設定する場合は、一見プレッシャーが少ないように感じますが、生徒の様子を見ていると登校できなかったことに対して自分を責める時間が長くなり、逆効果となっていることに注意すべきです。通信制高校で働いている人たちは既に知っている事実のはずですが、保護者や中学校の先生は想像しにくい現実かと思います。どの曜日を設定しているかにもよりますが、例えば、月火水の3日を選択しており水に意思に反して欠席してしまった場合、登校できなかったことを木~日まで引っ張ってしまうため、リカバリーできるチャンスが遠のいてしまいます。この自分を責める時間が本人のモチベーションの足も引っ張ってしまい、登校に対するプレッシャーを増長して不登校に陥るケースを見てきました。

週3日など登校日の設定は一見「登校しやすい制度」とも言えますが、週5日にしておいて、来れるときに来るという環境で対応した方が、登校するという目標達成だけを考えると案外うまくいきました。その後、通信制高校での過ごし方に対する要領を本人も保護者も身に着けてから日数を減らしていくべきだと考えています。登校日を設定する場合、保護者の協力や理解も不可欠で、行けないことを責めたり突っついたりした時点で、本人の意欲は一気に低下します。学費設定も違うため、どうせ毎日行くことが難しいなら、もったいないから日数を減らしておこうと考えがちです。これも仕方のないことですし、正解であるとは思いますが、週3日通学するというスキルを身につけなければいけません。保護者も経験していればいいのですが、毎日通学する経験しかしたことがない保護者にとって、限定した曜日だけ登校する時間管理の難しさ、コンディションの難しさは想像できると思います。シフト勤務している方が夜勤と日勤で体調を戻すまでにどれだけ大変か?想像できるかと思います。

週3日は決して楽な選択ではありません。
これから通信制高校への進学を検討されている方は、完全な自己管理で自宅学習に取り組むか?毎日通うかのどちからで入学した方が良いといつも説明をしています。通信制高校なのに通うの?と思う方も多いかと思いますが、今の通信制高校は登校義務はないけれど、学校に来て勉強することができる学校が一般的です。

毎日通うか、自宅で学習して必要な日数だけ登校する。
通信制高校は自分の時間を有効活用することができる、時間の使い方にゆとりがあるのがメリットです。それを登校することがプレッシャーになってしまっては本末転倒です。3年間あるのですから、まずは毎日通う選択からはじめていただきたいと思っています。

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