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【映画】カラオケ行こ!─思っていたよりずっとBL

※内容・結末のネタバレに踏み込んでいます。

アホちゃうか

TOHOシネマズ仙台にて、レイトショーで見た。原作未読。原作既読の嫁はんとみた。

思っていたよりずっとBL。

前半はずっとイライラしていた。なぜなら、狂児がカラオケ上達することに全然聡実君が協力的ではないし、狂児も本気で組長の入れ墨を回避したいならまずちゃんとハイエナの兄貴と同様に歌声教室に通うべきだし、仲間に聡実君を紹介して敵に塩を送るべきではないし、聡実君もどんな理由があれ、部活を勝手にボイコットすべきではないし、さぼったことに対して和田しか触れないで放置しているのも合唱に本気なのかそうでないのかわからず、不真面目に感じられたからだ。

こいつら、全員アホちゃうか。アホばっかりの映画見せられてハハハと笑えと言われてもイラつくわ。

そう思っていた。しかし、、、、、

カラオケ行こ!(イチャコラしよ)

そもそも狂児は聡実君に一目ぼれであり、カラオケを教えてほしいというのはその口実でしかない、というのならばすべての筋は通る。思春期で未熟な少年に綾野剛がグイグイと迫り、聡実君もまんざらではなく、二人のカラオケ店でのイチャイチャを見せられるという話だったのだこれは。

男目線でジャンプ的に話を作ると、歌の上達に向けて友情・努力が描かれ、ヤクザと少年の間に奇妙な友情が芽生え、そして最後は勝利する──という流れについついしたくなってしまうが、本作はBLである。
友情も努力も勝利もどうでもよい、ただ狂児と聡実はイチャコラしたいのだ。

カラオケ店で。そして、、、、、

狂児には本当に死んでいてほしかった


アウトローな恋人が自分を守ったことで命の危機にさらされるという展開。これもようよう考えたら、アウトロー恋愛ものの王道ど真ん中である。しかし、カラオケ・おっさんと少年・ヤクザと中学生という糖衣にくるまれているため、その王道の味付けがかなり新鮮に響く。

ネタ曲的なイメージの強い『紅』の歌詞は別れた恋人を思う切ない歌だったという発見も相まって、ちょっと得も言われぬ感動が物語に宿る。

だからこそ、俺は本当は狂児に死んでほしかった。どうせなら王道ど真ん中で、ほのぼのからシリアスに、どうしようもない切ないラブストーリーとしてはっとさせて幕を閉じてほしかった。でも、そしたら原作ファンは黙っちゃいないだろうし、(ネタバレ)『殺さない彼と死なない彼女』とか、よう考えたらまんまその仕組みだな。

原作を生かしつつ映画に翻案するとなるとこれ以上ない過不足ない出来だったが(エンドロールのLittle Gree Monsterの『紅』はいらなかった
。興ざめる)、映画としての完成度を高めるならまだまだできることはあると思う(合唱コンクールに行かないことのフォローとか、もっとカラオケメソッドを盛り込むとか)。


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