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社会の歯車でなくても

2022年8月

世界大会の興奮が冷めやらぬ中、夏には少し暑苦しいスーツに身を包む。

あの劇的な体験からまだ数日。
世界3位という誇らしい実績を引っ提げて営業に向かうサラリーマン。

賞賛の声に比例するように貯まったメールを満員電車に揺られながら処理する日々が続いた。

営業の仕事は好きだったし自分にむいていた。
上手くいく方法を考え、頑張った分だけ数字として結果が出る。
ニコニコと世間話をしながら頭の中ではどうすれば成約に繋がるか計算しながら話を組み立てる。

接待の食事も上司からの急な誘いも、誘われること自体に喜びを感じていた。
未来の管理職候補だと何度も聞かされたし自分自身もそうなるだろうなと感じていた。


2022年12月

仕事を辞めた。
人間関係も仕事内容も福利厚生も何一つ文句が無かった。
むしろここまでいい会社に入れたことが奇跡だというぐらい恵まれていた。

ただ新しいことに挑戦したくなった。
世界大会での経験をただの思い出ではなく、何かにチャレンジするきっかけにしたかった。

ごめんな友よ
俺はもう行くよ
居酒屋だけの意気込みじゃゴミだ
お前も本当は気付いてるんだ
素面じゃ語れぬ夢は惨めだ

もちろん仕事を辞めなくても方法は多数にあった。
それでも中途半端に挑戦できるほど甘いものでもなかった。
やるなら全力で、今の理想の生活を投げ打ってでも挑戦したかった。


2023年3月

仕事を辞めてからの方が忙しくなった。
それでも少しづつやりたい事に近づけている。

分からないことばかりで上手くいかないことが続いているが、まだまだ頑張れる。
いつかこの挑戦が失敗に終わったとしても、あの時の決断は無駄ではなかったと。
そう思えるよう今を生きている。

「同じ社会人として憧れています」
「仕事をしながらでも活躍する姿に勇気をもらいました」

沢山の言葉を貰ってきた。
アイデンティティを一つ失った。

頑張れよサラリーマン
社会の歯車でも世界は回せる

私は私の道を行くが、
あなた達を心から尊敬している。

全ての働く人達へ心から祝福を。


2023.3.31
社会の歯車でなくても


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