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「コードって書きたいですか?」

STUDIOというwebデザインサービスを開発しているmiyaokaです。

この度 STUDIOが大きく進化して ver2.0 としてリリースされました。開発者としてプロダクト開発をどのように進めていったのかをこれからいろいろ書いていきたいと思います。


まずタイトルの言葉なんですが、自分がSTUDIOの開発に携わり始めた頃にプロダクトオーナーの @keima に聞かれたのが「miyaokaさん、コードを書かなくて済むのであれば、コードって書きたいですか?」という質問でした。

STUDIOはデザイナーがコードを書かずにweb制作ができるツールです。従来であればデザインとコーディングが分かれているため何度もやり取りする必要があり、クリエイティビティを発揮しづらくなります。そこでコードを書くという作業を無くすことによって、直接デザインできる世界を目指しています。

しかし、自分の答えとしては「イエス、書きたい」でした。

STUDIOのコンセプトは共感しているし、いろいろなものが自動化されていく中でこれまで当たり前にやっていた作業も確実に減っていくでしょう。そこまで理解していながら、気持ちとしては書きたいという言葉が先に出ました。

自身でもその場ではなぜなのか分からなかったのですが、とりあえず気持ちを出してみることで、後から考えるというのはよくやります。

おそらく自分にとってコードを書くということは単にやりたいことを形にするだけの作業ではありません。思考を定義として言語化し、プロセスを抽象化していくことによって、頭の中だけでは考えきれなかったことが初めて見えてくる、設計そのものなんじゃないかと思います。コードによって作りたいものが明確になったり、さらに応用したものが生まれるのでしょう。

ここまでの曖昧な言葉の補足
※デザイン:設計。狭い意味ではデザイナー的な意匠設計。エンジニアが主にやりたいのは機能設計(両方もある)
※コード:プログラム。狭い意味ではHTML書くのがコーディング。それはやりたくない。滅ぼしましょう。


自身の気持ちを探る

STUDIOで開発や雑談をしていると、よく分からないことを分からないままそのままぶつけることが多い気がします。これをネットでやると「もっと考えてから質問しろ」とかだいたい叩かれる系ムーブだと思うんですが、たとえ自身で矛盾した考えだと分かっていても、なにか気持ちが生まれたならその原因を探りたいと思うのがエンジニアのデバッグ気質なのかもしれません。

余談ですが、セブンプレミアムの商品名に下にある誰も読まないであろうコピーと背景絵に気づいたとき、これはいったいどういう気持ちで作られているのか?と議論したこともありました(→おそらく「統一感を付加する & 情報として主張してはいけない & レスポンシブ」を満たすのがここでのミッション)

そんなわけで、STUDIOにおいては日々開発していて感じた矛盾について率直に向き合っている気がします。

・こうであればいいのに(気持ち)
・そうなってない(現状)
・なぜなのか?(理解)
・どう直せるか?(提案)

プロダクト開発の現場においては、こうした気持ちファーストなプロセスはおそらくそんなに重要視はされないことが多いんじゃないかと思います。なぜならビジネスに結びつくかというのは全く別のレイヤーだからです(売上に結びついていればバッドUIでもいいし、売上が上がらないなら改善しないほうがいい)。コストや政治的な問題もあります。

それ故に開発者はビジネスの要求に従って実装しますが、そこで開発者から生じる気持ちが解消されないままだとつらいなあと感じます。


STUDIOの開発はフロントが3人くらいという小規模なこともあって、プロダクトの仕様や実装について話すと各々がこうあるべきと主張し合って毎度コンフリクトが生じ、揉めに揉めることが多いです。

これには時間もかかるし作業も遅れるのでなんとかしたいという自覚はあるのですが、しかしプロダクトを作る上で一番最初に気持ちの解消からしているとも言えます。

つまり、気持ちが死ななければきっとやっていけるのではないでしょうか(ただしプロダクトオーナーは多忙で死ぬ)。

次回はもうちょっと具体的な開発の取り組みの話をします。

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