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ご褒美の良し悪し

職務内容の一つに、文書チェックがあります。学年だよりとか外部への提出文とかに間違いや伝わりにくい文はないかを見て、修正をします。主幹教諭になりたてほやほやの時は、使命感から多くの文書を直してきました。今となってはそこまでやる必要あったかなと思うくらいだったので、直された方はいい気はしなかったでしょうね。

修正してきた言葉ランキング上位に入るのが、
「賞賛」と「称賛」です。
そんなところ?!と思われるんですが、言葉にこだわる教師としてはやっぱり見逃せないところです。(noteの記事の文字間違いは見逃していただきたいです💦)

簡単にいえば
①賞賛→物を与えて褒めること
②称賛→物を与えず褒めること
と言えます。

「運動会で3位以内に入ったから、おもちゃ買ってあげるね。」
というのが賞賛。
「休み時間も走る練習をしていたから運動会で3位以内に入れたんだね。がんばったね。」
というのが称賛。

もし、学校で「賞賛」していたとしたら、「シールあげるね」とか「宿題なし」といった具合でしょうか?私はこれをあまりお勧めしません。全くしないというわけでもありません。しかし、なぜ勧めないかというと、物を与えて褒めることを繰り返すと、物をもらわないとがんばれないような子どもになる可能性が高いからです。こういうのを「外的動機付け」といいます。自分の内面からわきあがるものではなく、何かを得るためという外からの関わりによってモチベーションを出します。欲しいものがエスカレートするので、与え続けることができるのならそれでも構わないでしょう。もし欲しい物がなくなった時に、その子はどうやってモチベーションを上げることができるのでしょう。

東大に入学した方の話で、物を与えられたとしても勉強に向かうようにさせてもらえてよかったと振り返っているものもありました。何もしなければ、できないままだとしたら、できるようになる手段としては、一概に悪ではないといえます。

ただ、教師は学校において、称賛を行い、子どもの内面からモチベーションを引き出すように努める必要があると考えています。賞賛と称賛の言葉の違いを意識せずに使っている方は、勝手なイメージですが、主体的に学習に取り組む態度の評価も曖昧なんじゃないかと心配してしまいます。主体的に学習に取り組む態度の評価ってのもかなり難しいのですが、いつか書けるようにしたいと思います。

子どものやる気(モチベーション)を引き出すために、さまざまな手立てを講じますが、まず知っておきたいのは、「やる気はやりながら出てくる」ということです。なので、関心をもてるように写真やグラフの提示をし、そこから問いをもたせる段階で、「やってみたい」というモチベーションが高まるようにするとよいでしょう。そうして、学びを実感しながら、学ぶ楽しさを味わわせていければ、内的動機付けにつながっていくことでしょう。

家庭で何かに取り組ませたい時は、ちょっとでもやらせる→近くで一緒に学ぶ姿を見せる(読書でよい)→集中できる時間を伸ばしていくことがいいかなと思います。学校の授業だけでは、子どもに育みたい力の一部しか育てられないと思っています。学校は学校でしかできないことを、家庭では家庭でしかできないことを取り組ませたいものです。学校も、家庭も、座って紙や映像からだけでなく、五感を生かしてかつどうすることにこちらが意味づけしてあげられればいいなと思います。洗濯物をたたむとか、布団を敷くとか、料理を手伝うとかもいいですね。数量感覚や空間認知、重い物を動かすコツや力を使うこと、そして自己有用感や生活力などなど高めてあげたいですね。

私自身はがんばったご褒美を自分に用意しておきます。
やる気出ますよね。

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