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タケシ君あらわる

#4 タケシ君あらわる
最初に現れたのは、お父さんと一緒にランチを食べにきた時だと思います。水野さんがカウンセラーをしている高校の生徒。カウンセリングの時間だけではしゃべり足りないほどしゃべるらしい。
野菜たっぷりのランチを食べた後、「こんなゆっくり食べ物を味わったのは久しぶり」といったのを覚えています。
進学校の生徒だったタケシ君、学校に落ち着いていられなくなり、歩いておせんべいの工場まで行って試供品を食べたりしていたと聞く。カフェまで遠いし、どうやったり来られるかなあと思っているうちに、時間は過ぎていき…
その間、大荒れの時期があったみたいだけど、11月の高卒認定試験に合格、その勢いで「ノー勉」(高卒認定は、大好きな地理のみだったので勉強いらずだった)でセンター試験に行き、1時間で撃沈。学生服のままカフェに来ました。
そのあと、カフェの住人となる。
10キロの道のりを自転車で走ってくる。しゃべる、動く、ピアノを弾く、歌う、踊る、そして笑う。あっという間にカフェの人気者になっていきました。
「カフェからうちに帰るときは寂しくて涙が出るんです」
「でも、寝る前に明日もカフェに行けると思うと一人で笑いながら寝るんです」

お母さんは、病気で長期入院中。一人っ子、大きなおうち、仕事が忙しいお父さん。そんな状況だったタケシ君は、毎日毎日自転車を走らせてカフェに来るようになりました。 (続く)

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