【詩】落涙


貴方の為に流す涙は
いつだって虚しい

流したことさえ知らない
流した分だけ強まって
離れがたく
縛られる

変えられない現実を
見つめて
落ちてく
はらはらと

私を洗うシャワーみたいで

すっきりと目が覚めて
鮮明に突き付ける

清々しく痛い
心地良くて危うい



君の前で流す涙は
いつの間にか優しい

啜る音に飛び起きて
濡れた頬を確かめる
拭って
摩って
抱きしめて

期待している将来が
満たされなくても
そばに居る

雪降る朝の布団みたいに

突き詰めると自己満な
乱暴でもある愛情で

包まれて強く
解かれる心



貴方への恋も
君との愛も
手放せないし選べない

ふたりの狭間に落ちる涙は
一体どこに着地するのか

見えない底へ

ひとつ
またひとつ
吸い込まれて

――

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