魔銃・アブトマットカラシニコバ

(前回までのあらすじ:己の主である魔術師を射殺し帝国軍を出奔した『AK-47』は、同じく己の主を斬った主君殺しの刃『村正』と共に同盟軍の勢力圏内にまであと15キロというところまで辿りつく。しかしその追っ手の中には最強のウェポン、不滅の刃『デュランダル』が居た!)

 パン!という乾いた音と共に発射された弾丸は、狙いをやや外しながらも確実に命中した。
 眉間を撃ち抜かれた最後のオーク鬼は、苦悶の声と共にその巨体を森の大地に倒れ伏した。相変わらずの命中精度に自分のことながら苦いものを感じ、薄汚れた野戦服の袖で汗を拭った。

「毎度五月蝿いもンだねぇ、あンたの技はよォ」

 茂みの奥から若い女の声がする。現れたのは森の中にはおよそ似つかわしくない黒い着流しの女だ。

「……そっちはどうだ、村正」
「上々よォ。みーんな殺しちまったサ」

 二手に別れ、森に潜むオーク鬼の群れを駆逐しようとしたのは十五分前。手痛いタイムロスだ。

(続く)

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