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「個の時代」からさらに一段、「素の時代」がやってきた。


緊急事態宣言が出され、いよいよ本格的に「こもる生活」が広がっている。
これまで様子見をしていた企業も、バタバタと在宅勤務の準備を整えている様子。

都内の某出版社に勤める編集者によると、その会社ではついに社員に“1人1台”、スキャナープリンター(あのオフィスにあるでっかいヤツ!)が支給されたらしい。
「リモートワークに死角なし。『備品が足りないから』と言い訳できなくなりましたよ(笑)」と覚悟を決めたそう。

フリーランスでライターをしている私の仕事も、急速にオンライン化している。
4月に予定していた取材はほぼ100%、zoomやmessengerビデオを使っての画面越しの取材に変更になり、
イベント型のセミナーをレポートする取材も、全部オンライン配信を視聴する形に。
打ち合わせもすべて画面越しだ。

その画面に映る相手の姿が、なかなか新鮮だ。
これまでオフィスや外で会っていた印象と、ちょっと違う。
すべてが“素(す)”なのだ。

まず、背景。
今はみんなで力を合わせて「stay home」の時期だから、ほぼ自宅からつながる。
画面に映る背景は、素敵な本棚の書斎だったり、リビングの一角だったり、「家族が賑やかなので邪魔されない場所に逃げてきました」とクローゼットの壁だったり。
その人の普段の生活風景が見える。
(バーチャルで覆っちゃう人もいますが^^!)

そして、背景をしょっているご本人の印象も、これまでとはかなり違う。
オフィスではビシッとスーツを着こなしていた方が、リラックスしたおうち着で登場したり。
女性はアクセサリーやお化粧もほどほどに、今日は“すっぴん”に近いのかなという方もいたりする。
会話の合間にドリンクを飲む、そのマグカップに生活のセンスが垣間見える。
そして時折、小さなお子さんが「パパ、何してるの〜?」と背景に登場したり、ペットが乱入したりして、ミーティングが一気に和むこともしばしば。

サラリーマンも主婦も学生も乳児も、家族みんなが家に集まるという
過去に経験のないライフスタイルを送る中で、社会につながろうとすると、溢れ出てくるあれやこれや。
この「あれやこれや」は、その人の“素のライフ”そのもので、こうなってくるとお互いに隠しようがない。

実態を隠して背伸びをしたり、取り繕ったりするのはほぼムリな状況だから、“素”がダダ漏れになってもお互いに許し合っているし、むしろ歓迎し合う雰囲気が急速に生まれている気がする。

コミュニケーションのオンライン化によって、これまで知らなかった相手の一面が見えてくるのが私は面白い。相手もそう思っているかもしれない。
“素”の交換によって、お互いのことをより理解できるし、そこから先に生まれる信頼関係はより強固なものになるんじゃないだろうか。

インターネットの普及で個人の発信力が強くなった流れを「個の時代」と表現されてきたけれど、今はそこからさらに先の「素の時代」に進もうとしているんだなぁ。

という投稿を1週間前にFacebookでしたところ、ある方が「ナイ巣!」とコメントをくださった。
すぐに「ナイ素!」と誤字を訂正されたのだけれど、なるほど、たしかに「巣籠もり」の時代でもあるから「巣の時代」とも言える^^!

ビジネスにおいても関係者全員が自宅から参加する現象を「(HtoH)Home to Home」と呼ぶ動きも出てきているらしい。
(*ご参考に、その発言があったレポート記事を最近Forbesで書いたのでリンク貼っておきますね)


巣と巣から、素と素でつながる時代に。そんな時代にはどんな人の声が大きくなっていくんだろうか。

面白い時代になる予感。



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