Dリーグ22-23 ラウンド3 【音楽メインの感想】

ラウンド3の感想です。やや音楽多め。

SPダンサーを投入するチームが多く、かなりカルチャー同士のぶつけ合いになった印象。

レイザーズ VS レジット

相手に寄せたエンタメで勝負に来たレイザーズと、スタイルのど真ん中でくるレジット。

レイザーズは曲のギミックや小道具など全体的にネタ要素多めで、しっかり構成も作り込まれていたように思う。特に曲はしっかり緩急があって、作品の展開をよく考えて作られていた。印象的だったのはレジットのデリシャスコーヒーのフォーメーションやタオルなど相手チームの要素を明確に入れてきたこと。エンタメ回だからできることだし面白いけど、あまりやりすぎると作品の質がブレる。

レジットはすごくレジットっぽいな〜〜という印象。曲も振りも、コミカルな部分も込みで非常にクオリティが高かった。ローテンポで隙間の多い楽曲の中にバチ重いヒットを決めるスタイル、何度見てもかっこいい。

ポッピン、アニメーション、ロッキンの方がクランプよりエンタメ適性が高い気がするので、投票したのはレジット。でもどっちも高いクオリティだった。

アイムーン VS LUX


アイムーンすごくよかった。傘の使い方が幅広く、立体的なステージの使い方が魅力的。特にレインコートを脱ぐタイミングが見事で、ギリギリ最後まで粘ったのもが素晴らしい。ただせっかく傘のモチーフを使うなら照明とかもっと工夫して緩急があると良かった気がする、中盤で雨が降り出すシーンとか。

LUXは、対戦相手がアイムーンだから手を抜いてたのか…?楽曲がゆったり系というだけじゃなくて細かい部分が揃っていないように感じた。最初、曲だとジャケットをなおすSEが入ってるのに振り付けだと1拍あとでやってたし。もともと音に対する興味が薄いチームだなとは思ってたけど…まあ12ラウンドあるなかでそういうのも戦略の一つと言えるけど。

投票したのはアイムーンです。自分の中では結構差があった。

バトルズ VS カドカワ

バトルズはSP2名、しかもメンバーの師匠ということもあって期待していたけど、その割には振るわなかった。なんかこう、ロッキンってもっとチャカチャカしてるイメージあって、上手い人ほどその洗練された動きが魅力的なんだけど。
今回の作品は割とエンジョイよりな雰囲気だったから、カドカワのハングリーなガツガツさに喰われてしまった気がする。

あと、楽曲は前後で大きく雰囲気が変わるんだけど全体のマスタリングが乱れてるのが良くない。前半はしっかりバスドラムが効いてるのに後半のハイテンポで完全に埋もれてしまっている。ボーカルやいろんな小物が定位の中心に集まりすぎてごちゃごちゃしている。

カドカワは持ち前の尖り方がうまくハマってた。スキルえぐいね。基本的に日本語ラップとダンスの相性はあんまり良くないと思ってるんだけど(リリックに気が向いてしまう・ダンスの印象が言葉に左右されすぎる)、これらはそれを凌駕するスキルがあれば例外だ。今回はまさしくそれ。リリックに踊らされるんじゃなくて体から言語を発する。見事。

投票したのはカドカワ。

インフィニティーズ VS モノリス

インフィニティーズは前回と前々回でhiphopとブレイキンのそれぞれを見せたので、今回からその融合が見られると思って楽しみだった。

楽曲は結構好き。ハードめなビートの上でスキル見せまくり。こういうラップ大好き。なんだけどこれがカドカワの項で言及した、完全に曲が先行しちゃってダンスの印象が弱くなるパターンだった。もったいない。動きと動きの隙間に曲が侵入してきて、メインが入れ替わってMVになってしまう。

でも最後に自然な感じで歩いて立ち去るのは彼らっぽくていいね。ふらっとやってきてダンスして帰りますけど?みたいな。 

モノリスはHALさん主軸にど直球のvogue。ハンズパフォーマンス中心に普段通りのパフォーマンスでハイクオリティ。めっちゃしなやかというか、合理的で淀みが一切ない。ディップの瞬間の揃い方とか、楽曲も衣装もスキがなくて、ワンチームとしての仕上がりの高さを感じた。

投票したのはモノリス。舞台力の差を感じた。

ラプチャーズ VS aRB

ラプチャーズは男女の関係性を中心にストーリーっぽくしてたんだけど、展開がよくわからなかった。男性が引き止めていて、でも女性には未練があって…?みたいなのは入場の段階でもう見せてたのに、そこから2分間で特に変化が見られなかったのが残念。解放されるとか仲を取り戻すとか色々あってもいいのに…曲はしっかりミュージカルのような展開が作られていたのにもったいない。加えて衣装のデザインとか、脱いだ服もっかい着るんかいとか、モヤモヤしながら見てしまった。

こうなるとaRBの「わかりやすさ」がまた凄くて。一瞬でああ君たち招待されて、それで着替えるのねってことが理解できる。あとは楽しむだけでいい。ラプチャーズの時に感じたモヤモヤが一切ない。ジャングルドラムからの最後の展開は悔しいけどワクワクしてしまう。

衣装を次々着ていくのは普通にリスキーだし、ハイテンポな曲はこちらをより焦らせてくる。大道芸を間近で見ているようなワクワクに近い。安心しながらハラハラできる空間づくりが素晴らしい。

投票したのはaRB。ここ相手に表現力で勝負してしまったのは悪手だったかも。

KOSE VS アルトリ

世界レベルのshigekixさんを投入して、もう負けるわけにはいかないKOSE。ソロと個人のフォーメーションがかなり綺麗だったし、ストレートに見ていてかっこいいブレイキンだった。ただせっかくshigekixさん呼んだならもっと焦点を当てて欲しかったな、衣装も一緒だし…。

終盤でいきなり曲がサルサみたいなラテン音楽になったのはマジで何?前後の繋がりは全くないし、衣装もダンスも全然シンクロしてないし。もともとここは楽曲にこだわりがないチームなのは分かっていたけど…

一方のアルトリは完全に戦術勝ちというか。もちろん意図してない部分もあるだろうけど、SPダンサーにブレイキンaichiさんを持ってきて、しかも直前まで非公開にして、最後までヘッドスピン一本という姿勢。痺れる。
あの7:1の構造は最後まで2分間やりきって初めて意味が出てくる。明らかに表現しているものが違って明確な断絶がある。時間の流れとか地球の時点とか明らかに人とはかけ離れた存在。そしてセンターだった井田さんは足の動きで一瞬でわかってしまうほどの身体能力の高さ。この人メンバーだけど実質SPみたいなもんだろ。

アイデアをしっかり実現する技術。そしてダンス以外の部分でも本気で勝ちを狙いにいく姿勢。そして今シーズンから照明が変わったことを一番活用しているチームだと思う。

投票したのはアルトリ。

総評

相手チームに寄せるのはデメリットの方が大きい気がするけど、変化球で攻めに行くといろんな部分が対比で見えて面白い。

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