Xデザインでの学び - ビジョンとパーパス -
Xデザイン第9回からは山崎先生となり、「ビジョンとパーパス」をテーマとした講義でした。パーパスは最近よく耳にする新しい経営概念という認識程度だったのですが、ビジョンとの対比も含め詳しく知ることができました。個人的には大きな学びが2点でした。
・ビジョン vs パーパス : 一人称 vs 三人称
・パーパスはアップデートされていく
ビジョンについては日頃から「ビジョン・ミッション・バリュー」と呪文のように唱えているので馴染み深い概念です。これは、「今」や「自分」を起点とした未来思考のベクトルの響きを持っているよう感じます。対してパーパスは「どんな社会を作りたいのか」を問い、俯瞰的に自分の立ち位置を含む全体としてどうあるべきかという概念です。共に問いとしては「Why」なのですが、時間軸(深さ)x 2D(面積) の立体的な構造、異なるディメンジョンの存在と感じました。そうすると、「ビジョン」という時間軸のそれぞれの時点における「パーパス」が存在している、と言い換えることもできそうです。
この捉え方をした場合、「パーパスはアップデートされていく」も腑に落ちる感じがします。現在、近未来、遠い未来それぞれ時点での社会に合わせて、パーパスがアップデートされている。「パーパス」は確固たる「ビジョン」をもつ私(企業)の社会的存在意義とも言えます。
ただ、パーパスはマクロな意味での社会情勢に合わせて変わるという概念でもなさそうです。講義ではパーパスモデル(「パーパスモデル:人を巻き込む共創のつくりかた」)というダイアグラムを使ってニューヨークの「ハイライン」を事例にそのアップデートの変遷を紹介していました。最初、2人で始めた鉄道廃線跡の保護活動への呼びかけが支援者や行政を巻き込み景観保全活動へとアップデートされ、残された高架上の有効活用手段として公園という公共施設の利用へとパーパスが再度アップデートされる。そこにアーティストなど、新しいステークホルダーが流入して「それぞれが好きな活動を行う癒しの場所」というパーパスへ変化していきます。
ニューヨークの「ハイライン」
吉備友理恵、近藤哲朗、パーパスモデル:人を巻き込む共創のつくりかた
ビジョンやパーパスはあくまで向かう目標であり達成されなくても良い。でもパーパスは関係するステークホルダーがある程度達成されているという状態でないと、更なる共創は生まれないのかもしれない。パーパスはどちらかというと総体的な意思にようなものなのかなというのが個人的な受け止め方でした。
やっぱり、誰と考えるか
講義の後半はワークにてビジョンデザイン作成しました。そのデザイン作業の際、重要なポイントとして挙げられていた項目の一つが「ビジョンデザインにふさわしいメンバーとチームでの検討」。能動的でやる気があるポジティブな人がいるとアウトプットが全然違うというのはこれまでも多々経験してきました。。確か#8の大崎先生の「ワークショップのデザイン」でもサービスデザイン・ワークショップの要諦としてメンバー選定が挙げられてたと思います。クライアントワークの場合や、限られたメンバーしかいないプロジェクトではこの部分でつまづくことが多くて対応に苦慮することもよくあるので、こうしたメンバーがいる時のターンアラウンドの手段を発明するのもきっと必要なのでしょうね。