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「VRマンガ」アプリ2種類をOculus Quest2で使ってみた【スフィアトゥーン】【コミなびVR】
2021年10月の上旬と下旬、ごく近い時期に「Oculus Quest対応のVRマンガ用アプリ」がふたつリリースされました。メディアドゥ社の「コミなびVR」と、LINEマンガの「スフィアトゥーン」です。
・バーチャル空間で電子書籍を読めるアプリ「コミなびVR」がリリース! Oculus Quest 2に対応
・VRマンガアプリ「スフィアトゥーン」のローンチにあわせ、LINEマンガ人気作『女神降臨』『Sweet Home』など6作品の配信が決定!
どちらも友達から「こういうのがあるよー」と教えてもらって、せっかくQuest2を持ってるんだし試してみるかとインストールしてみた次第。以下、所感をメモします。
■スフィアトゥーン■
ホームの本棚で作品を選ぶとぱっと視界が切り替わり、マンガのなかに自分が入り込んでコントローラーのクリックで進行させていく形式です。ちなみに音楽も流れています。
場面転換はあるし、ふきだしやナレーションが適宜目の前に浮かんだり、また周囲が暗転して区切られた小さな画面だけが表示されたりと、ページやコマに相当する概念はあるんですがページやコマと呼ぶより適切な呼び方がないかなーと悩みます(笑) 「空間レベルの推移」「次にクリックするまでの時間」「クリックして場面が推移する瞬間」がコマやページにあたるわけですが、それをどう呼ぶか……うーん。
まわりが静止している空間で自分は能動的に頭をぐるっと動かせる状態なので、時間停止シチュエーションの作品とは相性いいと思います。あと画面転換・エフェクト・音などでの不意打ち演出が可能なのでショック性の強いホラーとも相性よさげ。ちなみにどちらのジャンルも無料サンプルにあるんで興味があればお試しできます。
この「VRマンガ」、あくまでマンガを読むという立ち位置からの様式論でいう場合、LINEマンガ発ということもあって「縦スクロールのウェブトゥーンを三次元的に再構築したもの」と捉えると呑み込みやすいかも。
マンガ以外で例えるなら、Youtubeなどにある360度VRミュージックビデオは近いでしょうね。
……ていうか、これなー、もはやマンガというより”リミテッドなアドベンチャーゲーム”と言ったほうがよくない!? みたいな気持ちにはなりますね(笑)
■コミなびVR
さて、上記の「スフィアトゥーン」がマンガ空間の中にダイブするVRであるのに対して、こちらは"VR空間の中で本としてのマンガをめくり読む"体験になっています。
コントローラーもしくはハンドトラッキング機能により手指でページをつまんでめくる様式で、とにかく本を読んでる感にこだわっている風情。本をつかんで位置を上下左右前後お好みで調整できるとか、距離だけでなく本そのもののサイズをぐわっと巨大化できる等オプションの小回りもきき、そつがないです。自分の身体と同じくらいの巨大な本を読む感覚は独特で、小さな文字を読むのがキツいお年頃にもやさしい仕様。
また、本を読むさいには、背景をプール・学校・公園などけっこう数あるなかから選べます。作品のジャンルに合わせたムード作りができますね。
■まとめ:まったく別ベクトルの「VRマンガ」
以上、スフィアトゥーンとコミなびVRを並べてみておわかりかと思いますが、ひとくちに「VRマンガ」と言っても
・マンガ空間の中にダイブするVR
・VR空間の中で本を読むマンガ
両者は大違いなんですよね。対極といってもいい。
だからVR×マンガの可能性を論じるさい、自分が求めるのはどういうアプローチなのかを意識するといいですね。
まず、本の形で読む平面の漫画は視点と視線のメディアだけど、スフィアトゥーンみたいなダイブ型VR漫画は「視界」という単位から考える事になりそう。さすがにこれはまだ専門のマンガ研究筋でも掘り下げる準備ができてるかどうかの段階かなあ。そもそも漫画あつかいでいいのかもわからんし……先述したとおりVRのADVゲームと隣接するので(というかほぼ相互に浸潤してる)たぶんゲーム畑の知見も要るだろうなー、と。
そして後者、VRでマンガ本を読む体験に関しては「PCブラウザ向けにインターネット配信されているものをふつうにブラウザで読む手軽さ」を上回れるかに課題があります。同種のアプリとの競合より、たぶんそちらがよほど手ごわいハードルのはず。
(↑)Oculus Quest2のネット閲覧用ブラウザ(Firefox製)でKindleマンガを読んでいるところ。すでにあるアカウントとコンテンツがそのまま持ち弾になるのもあって「サクッとお手軽でまあまあ充分なVRマンガ読書体験」になっており、今からアカウント作って都度購入する新規サービスがこれに勝てるか? というね。
それでは、取り留めなく書きつらねましたが興味のある向きの参考となればさいわいです。以上。
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