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映画『ラストマイル』感想

24日に見たものをずっと放置してました。
違うんです。良すぎたんです。

即感想書きたい気持ちはあるんですが、
安易に言葉にするのも憚られるような、深いテーマを持った傑作でした。

まずストーリー本編。
外国資本による大手ECサイトの齎した光と闇。現実のこの世界にも根深い問題として蔓延る労働者の苦悩を描いたこの作品は決してスカッとするようなものではない。
それでも人間の気持ちに丁寧に寄り添ったこの作品は野木亜紀子の得意技と言えるだろう。

死者は死に至るまでの過程があり、犯罪者は犯罪に走るまでの経緯がある。
作中で登場した、「一人残らず同じレールに乗っている」というセリフに全て集約されているだろう。

最後は外国資本に一泡吹かせ、数十円の報酬値上げに収まるが、
これもリアリティが物凄い。配達業者親子の「焼け石に水だよ」が本当にその通りなのである。
十年後には元に戻ってるかもしれない。もしかしたらもっと値下げされているかもしれない。
それでも僕たちは生きてるし、生きるしかないんだと。アンナチュラルの頃から漂う諦観めいた哲学が今作ラストマイルでも光る。

死者に抱擁を。生者に最大級の労いを。
それが野木亜紀子の世界観なんだろうと解釈した。


そして、ストーリー構成に関しても見事。
今作は複数の場面が同時進行で動く構成で、事件に対し奔走する人たちの努力が伝わってくる。
特に主人公ふたりを動かしながらゲスト枠のMIU404アンナチュラルチームの扱いは本当にすごい。
主役の活躍を奪わず、それでいて魅力を発揮していて、ファンなら手を叩いて喜び、知らない人のノイズにならないように上手く調整されている。

映画オリジナルキャラクターの配達業者と母子家庭親子の扱いも上手い。
事件のクライマックスに向けて丁寧に丁寧に話を進め、感情移入が完了したところでの合流。全てが繋がるストーリー構成は美しすぎた。

10点中10点の映画ラストマイル。
日本のドラマここにあり。



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