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今1番アブナイWEB漫画は「C-TOWN」にアリ!――斎藤潤一郎『死都調布』

(初出:旧ブログ2017/09/20)

 「今ハマっている漫画」を聞かれたら間違いなく、斎藤潤一郎の『死都調布』と答える。『トーチ』というリイド社が運営するWEB漫画サイトに連載されている作品で、現在3話まで公開されている。(作品ページ:http://to-ti.in/product/shit_chofu)

 この漫画を大雑把に紹介すると「銃弾と空虚の行きかう死の街、調布でアンニュイに過ごす人々が織りなすバイオレンス・ハードボイルド・オムニバス」という感じだろうか。初期の北野映画のように暴力暴言は生活に溶け込み、無感情に繰り返され、「調布」と言いつつ時折中華風な風景も登場する無国籍風な町並みは、怪しく危うい魅力を醸し出して……、なんて僕がああだこうだ言うより次の引用を読んでもらったほうが作品の空気が伝わると思う。CHAPTER.1の『指』の扉ページのモノローグを紹介する。

 俺の地元の飲み会では乾杯する前にまず全員の小便を鍋に入れ回し飲みする

 自慢じゃねえが俺は生まれてこの方ずっと夢心地でいる…これがC-TOWNスタイルだ 覚えとけ…!!

 この文は連載前の予告編にも掲載されていたが有無を言わさぬC-TOWNスタイルの迫力に、僕は本編を1コマも読んでいないにも関わらず『死都調布』が大好きになった。しかも『死都調布』の英語表記が「SHIT CHOFU」になっているではないか。石井聰互監督の『狂い咲きサンダーロード』の英語表記が「Crazy Thunder Road」になっていることを知った時の感動に近いものを感じた。最高にクールな原題の意味も音も失わずに意訳して、より破壊力をアップさせている素晴らしい英訳だと思う。
 

 こうして好きな作品をすぐに他人に勧められるのはデジタルなWEB漫画のとても良いところだと思うが、この『死都調布』はアナログな単行本になって欲しいとも願う。ボロボロになるまで読み返し、かみが少々黄ばんできた単行本で読むCHAPTER.3『遊戯の終わり』は、デジタル画面で読むのとはまた違う味わいが生まれるはずだ。

#漫画 #斎藤潤一郎

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