男の将来はわからぬものでございます

「わしの一生で、今日に用のあるようなことがあるだろうか」

「男ですもの」

「とは?」

「男の将来(さき)はわからぬものでございます」

と佐絵はなにげなくいった。べつに数年後、新選組副長になるこの男の運命を読んだわけではない。

ところが、歳三の運命は、この佐絵との縁がもとでひどく変転することになった。

【燃えよ剣 六車斬りの章】