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22.5センチの上履き


上履きを洗い初めて6年目。

最近、小3息子の22.5㎝の上履きが大きく重く感じる。

私の住む地域では保育園は毎週、学校もほぼ毎週の持ち帰りで入園以来の習慣だ。

子供の成長を両手に感じながら平凡な母親である私は、ゴシゴシと、あるいはしみじみと上履きを洗う。

なぜならその単純な作業と共に様々な出来事があったからだった。


17㎝の新品の上履きと共に保育園へ入園。

まだ立って履けずお尻を着いてのいわゆるお姉さん座りで着脱していた為、内側が摩耗しそこに着く汚れが落ちにくかった。

今思うとあれは1人で履いている証だったと思う。それを私は磨いていた。2度と観ることは出来ない証は思い出の中でぼんやりと輝く。


19㎝に変えたのは保育園年長の夏。

初めて持ち帰った週末は全く汚れておらず洗う必要はないくらいだったが迷わず洗った。

なぜかというとこの週、初めてお友達とのトラブルがあったからだった。

お互いの幼さが引き起こした男の子同士のケンカ。
以前から繰り返しちょっかいを出されていたらしくついに息子が手を出してしまったという先生からの話しだった。

相手の親へ謝罪の電話を入れた。
初めてのことで頭が真っ白になったし電話も緊張した。
そしてなんせ普段は大人しい息子。担任の先生以外からも心配された。

そんな出来事を洗い流すかのように上履きを洗ったことが未だに忘れられない。

ピカピカの1年生のピカピカの上履きは1週間で真っ黒に汚れる。
学校の校舎が古いのと渡り廊下を頻繁に使うことや単純に廊下が汚れているんだと思う。

21㎝を1年生の秋に購入。

この頃あまりにも汚れる上履き洗いが大変に感じて息子に自分で洗ったらどうかと提案した。
納得いかない様子でしぶしぶ洗った息子。 

その週末の日記

○月○日
「今日、上ばきをあらいました。
お母さんにおしえてもらいました。
外でやったのでせなかがあつかったです。
あらいおわったらうでと手がつかれました。
今どは妹にぼくがおしえてあげたいです。
またもちかえったら自分のは自分できれいにしたいとおもいます。」

実際にやらせてみると結構時間がかかる上になかなか汚れは落ちなかった。よっぽど私が洗う方が早く済むし綺麗になる。
でもいい経験になり、子供は大人が思うより子供ではなく沢山の事を吸収してくれたのだった。

22㎝を履いていた2年生の秋、息子の足の指が腫れていることに気づく。
足どうしたのと聞くと上履きがキツいとのこと。洗うだけでサイズを合わせるのをしばらく忘れていた。

こうして、現在の22.5㎝にサイズアップすることに。

息子はここ数年だいたい半年のスパンで靴を新調していて、それは精神面の成長に比例している気がする。

こんな風に身の回りの世話を焼くのもあと僅かなのなのかも。

まだ水が冷たく感じられる5月の初旬、ふと思った。

夏は暑い日差しで首の後ろをジリジリと焼かれながら、冬は寒空の下、洗い続けた日々。

何の変哲もないバレエシューズをいったい何足買い換えたことだろう。

入園の際に気持ち小さめに作った車柄の上履き入れに22.5㎝はギリギリ。
毎週、上履きと一緒に色々な出来事も持ち帰ってきてくれたけれど思い出も、上履きも、とうとう入りきらなくなるみたいだ。


上履きを洗ってきたというただそれだけのことがこんなにも思い出深く胸がいっぱいなることだなんて親にならなければ到底気づけなかった。

洗わせてくれてありがとう。素直にそう思う。

22㎝ではキツく、23㎝だとブカブカ。

0.5センチで調節した22.5㎝が感慨深い。

それは、洗って乾いた上履きが私の足にもぴったりだからなんだと思う。




GWを満喫していたら更新が遅くなってしまいました…。

息子と足のサイズが同じうちに書きたかった上履きの記事。

こんなに早く追いつかれるとは思わず驚いています。
背のわりに足が大きくてちょっぴりアンバランスな現在の息子。

あっという間に過ぎ去った私より足が小さかった日々(笑)を上履き洗いに重ねて書いてみました。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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