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桜と日本人

〜世の中にたえて桜のなかりせば
春の心はのどけからまし〜
(もしこの世の中にまったく桜がなかったら
春の人の心はのどかであるだろうに)

古今和歌集に収められている、在原業平(825-880)の歌です。

桜を詠んだ歌の中で、私のいちばんのお気に入りです。

平安時代の人々も、桜の前で、こころ踊らせてたんだと思うと、可笑しくなっちゃいます。

だから、もう1000年以上、日本人は、毎年、桜に心を奪われ続けているのですね。

ただ、ソメイヨシノが作られたのが、江戸時代で、今のように全国に植えられたのは、昭和のことらしいので、お花見の様相は、ずいぶん違っているだろうと思いますが。

桜って、儚げで、咲いてから、散っていくところまで、美しいです。

これを、毎年、鑑賞できるのは、本当に嬉しい。

人生の後半になると、「あと、何回桜が見られるか..」といった表現も、よく使われますね。

この「自然」だけは、バーチャルでは、絶対ダメで、特に桜は、その時期に、その場所へ行かないと、味わえないのが、貴重です。

映像で見るのと、実際に、花びらが散る様を、風を感じて、その風景の中に入って味わうのでは、全く違います。

日本全国に、桜の名所が、多数ありますが、ベストなタイミングで、お花見するのは、なかなか難しい。

そこがまた、桜に魅了される点であり、憎いところでもあります。

この世に桜がなければ〜、と言われましても、実際あるんだから、こころ穏やかでは、いられない、そんな春の日です。


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