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「みやっこ防災ワークショップ」を開催。宮古市内の小学生が《災害時の対処》について学びました。

3月9日(土)、廃校となった旧赤前小学校において「みやっこ防災ワークショップ」を開催しました。宮古市内の小学3年生から5年生6名が参加し、災害時の対処やスキルを楽しく学びました。


みやっこ防災ワークショップとは

NPO法人みやっこベース主催のイベントで、今回が初めての開催です。
損害保険ジャパン株式会社さまが全国各地で開催している「防災ジャパンダプロジェクト《1》」を軸として、初期消火訓練、備蓄米試食、地域で活躍する学生たちによる防災講話を盛り込み、楽しみながら災害から身を守る知識などを学ぶことを目的としたイベントです。

水消火器を使った「初期消火訓練」

最初は宮古消防署の協力により、水消火器を使った初期消火訓練を行いました。
初めに消火器の使い方を学び、火元に見立てた的に向けて消火活動を行いますが、消火器を初めて使う子もおり、水が勢いよく飛び出して驚く子もいました。
全員、無事に的を倒し、初期消火訓練が終わった後は職員の皆さまから、火事が発生した際の注意点や消火をあきらめて避難するタイミングなどを教わりました。
その後は消防装備や車両についての説明を受けましたが、実際に子どもたちも着用してみて装備の重さを実感したり、ポンプ車の装備についても説明を受け、普段は体験できないことばかりで興奮していたようでした。

結構勢いが強いのでビックリしてました!
重さは「ランドセルに全教科の教科書などを入れたぐらい」だそうです。

災害時に役立つ「紙食器」づくり

災害時には食器棚が転倒して食器が割れたり、水道が止まって食器が洗えなくなる可能性があります。
そこで、新聞紙やチラシを利用して簡易な食器を作る方法を学びました。
講師の方に教わりながら、みそ汁やスープなどが入れやすい「コップ型」と、お皿やそのまま捨てられたりゴミ入れにもなる「箱型」の2種類を作成しました。
ラップやポリ袋を被せれば何度でも使うことができるので、災害時だけでなく、普段料理をする時やキャンプの時など、さまざまな場面で活用することができます。
子どもたちは出来上がった箱型の食器を頭に被ってみたり、小さいサイズで作り直してみたりなど、各々工夫しながら紙食器作りに取り組んでいました。

箱型は作ったことがある子も多く、サクサク作っていきました!
新聞紙で作ると頭に被ることができるくらいの大きさになります。

災害用備蓄米試食

お昼ご飯は、宮古市危機管理課さまからご提供いただいた災害用備蓄米を頂きました。
災害用備蓄米はアルファ米なので、お湯を入れて15分で出来上がりますが、お湯を沸かせない状況でも水でも60分で出来上がります。
お湯を入れてからは、みんなワクワクしながら15分経過するのを待っていました。
出来上がってから待望の試食ですが、「思ってたより美味しい!」や「普通にごはんだ!」などと言いながら食べていました。
先ほど作った紙食器に早速入れ替えて食べる子もおり、学んだことをすぐに実践に活かし、使いづらい部分については改良を施すなど、工夫しながら楽しい試食となりました。
ちなみに備蓄米は出来上がりが260g(お茶碗で軽く2杯分)なのですが、おかわりする子もおり、すっかり気に入っていただけたようでした!

袋の内側には注水線が表示されてるので、そこまでお湯を入れます。
みんなで試食タイム!(※副食となるおかずは持参していました)

身の回りのもので「応急手当」

さて、午後からは応急手当ワークショップの開始です。災害でケガをしてしまった時に、身の回りにあるものを活用して、臨機応変にできる応急手当を学びます。
今回は骨折時の応急手当の方法を学びますが、添え木や包帯などが無かった場合に備えて、身近にある「新聞紙」、「大判ハンカチ」、「レジ袋」、「ネクタイ」を使います。
最初に全員で応急手当の方法を映像で確認し、その後に実践です。
骨折の場合は「添え木」が必要になりますが、身近なもので代用する場合は新聞紙や折り畳み傘、ラップの芯なども使えることの説明を受けました。
今回は新聞紙を添え木の代用として使用し、講師の方から指導を受けながらハンカチなどを駆使し、交代しながら応急手当の方法を学びました。
上手に出来た姿を参加者同士見せあうなど、和気あいあいとしたワークショップとなりました。

添え木の代わりに新聞紙を折ったものを使用します。
上手にできてお互いにニッコリ♪

学生活動団体「暁」による防災講話

続いては、宮古市の高校生が中心となった学生活動団体「暁」による防災講話です。
学生活動団体「暁」は防災士の資格を持つなど、防災や地域活動に興味を持つ中高生が昨年末に発足させた団体です。
今回は地震や津波が発生する仕組みについての講話や、防災対策についての○×クイズを行うなど、子どもたちにもわかりやすい防災講話となりました。
○×クイズでは講話で学んだことが多く出題されましたが、「こっちが正解だよ!」、「えー?さっきの説明で○○って言ってたよ!」など、相談しながら楽しそうに回答していました。

津波発生のメカニズムについて、メモを取りながら真剣に聞いています。
○×ゲームは、ほぼほとんどの子が正解していました!

避難を考える「逃げ地図」づくり

最後となるワークショップは「逃げ地図《2》」作りです。
今回は津波災害を想定し、安全な場所まで何分で避難ができるのかについて、想定浸水ラインを表示した白地図を使用して行います。
講師の方の指導により、避難目標地点を設定したら、地震による建物の倒壊により避難経路が塞がれる可能性がある避難障害地点を確認します。
そうしたら、避難場所までの時間が分かるよう、安全エリアに逃げられる範囲の道路に3分毎に色分けをしながら塗っていきます。
子どもたちは「この道だと地震の時は危険じゃない?通れなくなるかもよ!」などと相談しながら色塗りを行っていました。
完成したらそれぞれのチームで発表です。作ってみての感想や、避難に関しての考え方について学んだことを発表しました。
実は同じ地図を使っても、避難場所(津波避難ビルなど)が増えると、同じ地図でも避難時間が短縮されるなど、設定条件が違うとまるで違う逃げ地図になることから、比較してみることで様々な対策を検討できることも確認しました。

3分毎に色分けして道路に色を塗っていきます。
同じ地図でも避難場所(※右の地図の赤丸)が増えることで
全く違う逃げ地図になったのが分かりますか?

まとめ

「みやっこ防災ワークショップ」は「楽しく、学ぶ」をコンセプトとして、日ごろから防災について考えるきっかけとして実施しましたが、今回学んだことを友人や家族などと話し合い、大切な人たちと安全な未来を築いてほしいですね。

《1》将来を担う子どもたちとその保護者を対象に、災害から身を守るための知識や安全な行動を学んでもらうことを目的としたプロジェクト。NPO法人プラス・アーツと愛知人形劇センターの協力のもと、防災を学ぶ「防災人形劇」と「体験型防災ワークショップ」を届けている。体験型のワークショップは、2023年3月末時点で、全国で延べ500回開催し、約77,000人の市民が参加。

《2》東日本大震災をきっかけに、日建設計のボランティア部の有志が開発。建築設計の避難検証の手法を地図上の検証に応用することで誕生。※「逃げ地図」は株式会社日建設計の登録商標です。