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《ひと》理事 有原領一

こんにちは!みやっこベース広報チームの清水です。

みやっこベースに携わる方々をご紹介する連載企画《ひと》。
第8回となる今回ご紹介するのは、みやっこベース 理事 有原領一さんです。
宮古市社会福祉協議会の職員として、20年近く福祉やまちづくりに携わっている有原さん。みやっこベース発足当時からのメンバーでもある有原さんから見る、宮古の今とこれからを語っていただきました。

プロフィール

1976年生まれ、岩手県下閉伊郡岩泉町出身。1歳から高校までを宮古で過ごす。
高校卒業後、つくば国際大学社会福祉学科に進学。その後、国立身体障害者リハビリテーション学院に進学し、歩行訓練士の資格を取得。
卒業後、宮古市社会福祉協議会に就職。東日本大震災の直後に災害ボランティアセンターを立ち上げ、復旧・復興に尽力する。
現在は、同協議会の総務課課長として勤務中。
災害ボランティアセンターの活動を通して、現・理事長の早川らと知り合い、みやっこベース創立当時から現在に至るまで、運営に参画している。

今の仕事を始めるまで



ーー「歩行訓練士」という少し耳慣れない資格ですが、どんな資格か、取得しようと思ったきっかけを教えてください。

歩行訓練士とは、視覚障がいのある方の歩行はもちろん、点字の読み書き、生活に関する情報提供まで、日常生活全般のサポートをする専門職です。

もともと、父親が老人介護施設に勤めていた影響で、高校卒業後の進路は福祉関係と決めていました。そこで、つくば国際大学社会福祉学科に進学したのですが、勉強していくうちに、リハビリテーションや、障がい者支援の分野を専門的に学びたいという気持ちが強くなりました。もともと、陸上や野球をやっていた経験があり、スポーツには怪我がつきもの、ということで、リハビリテーションへの興味はそこからですね。
さらに、大学のある茨城県では、毎年霞ヶ浦湖で開催される視覚障がい者のマラソン大会があります。大学時代、その大会で伴走者をしたことがきっかけで、視覚障がい者サポートに強く関心を持つようになりました。
大学卒業後は歩行訓練士の資格が取れる、国立身体障害者リハビリテーションセンター学院に進学しました。

【写真】国立身体障害者リハビリテーションセンター学院の授業中の一コマ。


ーー就職先は歩行訓練士の資格が活かせる職場を探したのでしょうか?

本当はそうしたいところだったんですが…、いざ探してみると、当時、歩行訓練士の資格を持つ人の求人がとても少ないという現実にぶつかりました。せっかく働くなら、地元である東北、岩手、宮古のために働きたいという気持ちをずっと持っていたのですが、残念ながら歩行訓練士として雇ってもらえるところが全然なかったんです。
最終的には、せっかく福祉の勉強もしていたし、地元で働けるのであればということで、宮古市社会福祉協議会に就職しました。


ーー社会福祉協議会の中ではどんな仕事をされてきたか、また、現在どんな仕事をされているか教えてください!

障がい者支援の領域では、宮古の小学生や中学生向けの福祉体験教室を主催したり、福祉協会の依頼を受けて歩行訓練を行ったりもします。
ですが今、社協の総務課長として勤務しているので、社協の中の人事や全体の経営側の立場になりました。現場に出ることはほぼなくなりましたね。個人的には現場に出る方が性に合っているんですが(笑)、20年近く働いてきたノウハウを生かして、社協を裏で支える立場になっています。

東日本大震災と、その後10年経ってから思うこと


2011年の東日本大震災の際には、地域福祉課の主任だったのですが、震災発生2日後の3月13日には災害ボランティアセンターを立ち上げることになりました。まさか自分が立ち上げ担当になるとは夢にも思わなかったのですが(笑)、ここから先何が起こるか分からなかった緊急事態の中、地元の高校生ボランティアのみんなや市民の皆さんと社協が一体となって運営を進めていけたのは、宮古社協の大きなアドバンテージだったと思います。
当時は今ほどFacebookやTwitterといったSNSが普及していない中で、いち早く情報発信を始められたのも、社協の中だけでセンターを運営していたら時間がかかるはずの部分だったので、その点も今思うと良かったですね。

震災後10年間は、災害ボランティアセンター以降、被災者支援に従事しました。その後、現在は、生活困窮支援窓口で相談を受けています。10年前の震災当初は、仮設住宅や公営住宅といった緊急かつ新規分野の業務が多く、相談窓口もそれぞれのカテゴリに分かれていました。ですが今、社協では、高齢者や障がい者、困窮家庭などの相談の第一歩を集約して、その先で専門的な問題解決に導いていくという方針に変わっていったので、その入り口になる窓口の整備を進めている最中です。

個人的には、生活困窮支援窓口で相談を受ける立場として、子どもの貧困やひとり親家庭の子どもの教育問題の深刻さに課題感を強く持っています。
宮古で子ども食堂を運営して、このコロナ禍の中でも配達・宅配サービスを行うことで家庭の中の様子が見えるようになってきました。
困窮家庭にほぼ共通して言えることは、親が育った家庭環境が今のその人の子どもと同じだということ。親という一番身近な存在の「大人」も、幼少期に同じ環境で育ったパターンが多く、生活するためのノウハウを得ることが難しい環境であった、という背景があるいわゆる「貧困の連鎖」が起きてしまっているのです。
その連鎖を断ち切るためには、子どもが明るい未来を見出すきっかけを与える「大人」は、親や学校の先生だけではないと思ってもらえるようにすることだと考えています。つまり、子どもたちに将来の選択肢を増やす活動をしていかなければならないということですね。

子ども・若者の未来を切り拓くためのみやっこベース


ーー子どもたちにとっての選択肢を増やすという点は、みやっこベースの理念そのものに共通していますね。
みやっこベースの設立当時から携わっている有原さんですが、印象深いイベントなどはありますか?


設立した年に行った「高校生プレゼン大会」は思い出深いですね。駆け出しの団体が開いたイベントに市長まで呼んで、やりすぎたかなあといった感じもゼロではないのですが(笑)。準備段階から高校生がとても積極的にコミットしていたのが印象的でした。
2013年に発足したみやっこベースですが、最初の5年くらいは特に、高校生が主体的に活動を進めていた印象があります。SYM(※みやっこベースがサポートしながら活動していた高校生団体)の発足をはじめ、大人や他の誰かが決めたことではなく、高校生のアイデアで色々な活動が生まれていました。


ーーOGである私の個人の意見ですが、高校生の自分でもできることがある・チャンスを与えてもらった!と、とにかく意気込んで活動していた気がします(笑) 今振り返ってもいい思い出です。
そんなみやっこベースも設立から10年経ちました。有原さんから見た今後のビジョンを教えていただけますか?


みやっこベースの幹部の会議の中で、代替わりをしていかなければいけないね、ということはよく話しています。
そもそもNPO法人は、その時々に合わせた課題解決がミッションです。みやっこベースは震災復興・地域との関わりを創るという当初のミッションから、「被災地」という土地柄を超えた意味での人材育成・まちづくり・若者の活躍の場づくりといったミッションを持つ団体に変わりつつあると思います。当時高校生だった子が大人になってみやっこベースと関わり始めた、ここからの5年間が、これからのみやっこベースを創っていくのではないでしょうか。

【写真】2017年に開催したみやっこタウンにて。
子ども・若者と触れ合い、生の声を聞くことでみやっこベースの活動の幅が広がっていきます。


ーー復興から次のフェーズへ、9月からはマンスリーサポーターの募集も始まるみやっこベースは、まだまだ旅の途中といった感じですね!
最後に、有原さんが思い描く宮古の未来について教えてください。


自分が二児の父でもあるので、子どもが将来住みたいと思えるような街であってほしい、と思っています。

医療の格差などはまだまだ課題がありますが、物流などは都市部と遜色なく、ほぼ同じものにアクセスできるようになってきた一方で、人口減少やサービスの不足など、まだまだ課題は山積みです。

そこで、会社などの組織単位に捉われるのではなく、それぞれの得意分野を持ち寄って集まり、活躍できる仕組みづくりができればいいな、と考え中です。
例えばみやっこベースは、宮古で働く大人にとって、様々な業種の人が集まって地域について考える場になっています。普段は自分の会社の経営をしつつ、「自分が良ければOK」ではなく、"地域のために"存在している企業として、宮古をより良くするための課題解決に進むことができる環境なのです。

また、宮古の商店街の方の話を聞いていると、次世代を担う後継者不足が話題になることがしばしばです。若者が安心して活躍できる宮古、市外にいても宮古のために活動してくれる人が増えるといいな、と思います。

おわりに


OGのインタビュアー・清水自身も、高校生時代から大変お世話になった有原さん。当時から変わらない大らかな人柄とニッコリ笑顔がとても印象的でした!
インタビューさせていただいた日は、お子さんが夏休み真っ最中とのこと。
パパとして、社協の柱として、そしてみやっこベースの心強いメンバーとして、これからもお世話になりっぱなしだろうな…と思いつつ、共に活動する仲間として、少しでも恩返ししていきたい!と感じたインタビューでした。



【みやっこベースにエールをお願いします!】
9月1日より、500円から始められるマンスリーサポーター募集がスタートします!
詳細は下記のURLをご覧ください。
https://note.com/miyakkobase/n/nd653fb8a4c9e

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