気づかない書記官

裁判長が隣の裁判官に対して資料のことを聞いていたようだった

隣の裁判官は早速、資料を探したが見つからなかったため、前に座っている書記官に声をかけたが書記官気づかない

書記官が気づかないため、裁判所の職員が端っこから真ん中まで体を屈めたまま歩いてきて気づいてもらおうとするが書記官気づかない

その間ずっと審理は続いている

何事もなかったかのように

傍聴人にその全てを気づかれている隣の裁判官は威厳を取り戻したようにまっすぐ向き直った

ずっとノートを取っていた私は様子がおかしいなと思って、

「何かあったの?」と隣の連れに問いかけるも

悪いと思ったのかそのときは説明がなかった

小さな声で言ったつもりだったんだが、あの静かな法廷で響き渡ったんだろう他の傍聴人が気が付いた

そして裁判長も気づいたのか

お隣の裁判官と話をすると・・

先ほどの書類のことということがわかったようで

今度は裁判長とお隣の裁判官二人で書記官を呼んでいた

「○○さん、○○さん」

書記官全く気づかない

しばらく呼び続けて、

ようやく気が付いた書記官は、パッと立ち上がる

が、この書記官、体も大きいが、動きもとても大きくて音が大きい

ということで

他の人も気付き出す

何かな?

審理は粛々と進んでいる

あれ何かあったのかな?

皆さん気づき出して

目的の書類を書記官からもらった裁判官たちはその書類を確認していた

休憩の時に、連れからどういうことだったのかを聞いた

あー、そういうことだったの




その書記官は別の時も裁判官が来る前に立ち上がったことがあったんですが、

すると、その音が裁判官が入場する時ぐらい音が大きかったので検事が間違って立ち上がったことがある

他の人から違いますよ と声をかけられた検事は皆さんに向かって「すみません」と言って座り直していた

あの書記官、音が大きいんですよね

私も一瞬裁判官が入ってきたかと思ったから

検事は前を見てなかったからね

書類を見てたから

仕方ない

すみませんは、いりませんよー


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