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#26 調理場更新の手法はPFI?

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今まで、調理場設計の際に、どんなことに留意すべきなのか、という視点からの話を届けしてきました。施設を作る時には、その施設でどんなサービスを提供するのか、公共施設であればどんな課題を解決しようとしているのか、ということが重要で、この変化に富んだ時代に何年か前にどこかで建てた調理場の設計図面をパクってきたら、あんまりいいことになりませんよ、ということです。今回は、行政が調理場建て替えや調理業務に発注について触れてみたいと思います。


公共事業における事業者選定

調理場に関わらず、大規模な施設をつくる際に適切な事業者を選定できるかどうかというのは大変重要です。市内や県内に適切な業者が存在しているのか、学校給食について経験や知見を有しているか、などをベースに考えていくことになります。
共同調理場になると、数十億円から百億円を超える金額を投じた事業になるので、当然議会でも議論になりますし、その際には、住民の大切な税金を投入するわけですから「なぜその事業者が選定されたのか」というのは、説明できるような事業者選定の手続きが求められます。
実際、大手ゼネコンじゃないとできないのか?どれだけ地元業者を使うことができるのか?というのは、どの公共事業でも問われます。住民が収めた税金が出来るだけ市内で循環して、東京や大阪のゼネコンの儲けにばかり流れていかないようにという意味で、事業者選定の際には地元にどれくらいお金が落ちるのか、というのは必ず審査項目に盛り込まれることになります。ゼネコンが参加する場合、現地採用を積極的に行う、現地で出来るだけ資材を調達する、現地に支社を置くなどの提案や取り組みが盛り込まれることが多いです。

PFIってなに?

以前のnoteで解説しているので、こちらをまずご覧ください。

最近、共同調理場はPFIというスキームで整備を行なっている事業が多いです。PFIでは、設計・建設・調理業務を一括発注するので、請け負う事業者はSPCという特別目的会社(その事業を請け負うためだけに設立する会社)を設立することになりますが、15年間(10年とかもありますが)の調理業務が含まれていて、その部分の金額的負担も多いのもあって、調理業務を担う会社が代表となる会社を設置されるのが一般的だと思います。そして、厨房機器メーカー、設計会社、建設会社、運送会社などなどがSPCに対して出資して参画することになります。全国的にみても実例が増えてきていて、そのノウハウを持つ調理会社がチームを組んで、資金調達もして全体を調整していくことになっています。発注する自治体側からすると、なかなか地元事業者にSPCまで組んで、資金調達までできる会社が存在しないことから、どうしても大手の調理業者が選定されるケースが増える傾向になるわけです。学校給食事業は、「安全」「安心」が第一ですから、ある意味、ちゃんとした実績やノウハウを持つ事業者にお願いできるのは、いいことです。しかしながら、他の公共事業を見ると、地方自治体の事業者選定というのは、「どれだけその公共事業が地元に貢献できるか?地元にどれくらい経済効果をもたらすのか」という部分を考えるのが当たり前なので、ここにはいろんな意見が出てくる部分です。

どんな事業者にお願いするのがいいのか?

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