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君が一番綺麗だよ。

君を信じすぎた僕は、他の人を信じることを忘れた。
君を優先することを選んだ僕は、何をしていても君のことを考えるようになった。
君の望みはなんでも叶えたかったし、君と一緒にいる時間を大切にしたかった。
君だけに色がついたこの世界を、違和感も疑問も持たず、ただただ美しいと僕は思っていた。

だから、君がもうすぐ死ぬのと言った時、余計に君のことが気になって何も手につかなくなった。
でも君が、僕にいつもと変わらず仕事に行くこと、そして仕事の予定表を私に見せること、週に2回はお見舞いに来ることを望むから、僕はその通りにした。だから、もう君の余命が少ないことに僕は気がつけなかった。

君が、来世でも必ず会えるから大丈夫だよと言った時、君が言うなら本当にそうなれると思って、彼女が死んでしまうことを受け入れてしまった。そのおかげで君は心地よさそうに永遠の眠りについてくれたが、僕と君の時間が詰まったこの部屋には僕一人だけになってしまった。君の温かさも、君の甘い匂いも、君を感じさせるものは何もない。あるのは、僕の冷たさだけになってしまった。

君が最期に、よく貴方は「君が一番綺麗だよ」と言っていたけど、この世界はすべて美しいものなんだよと言った。今までずっと君にしか色がついてなかった僕の視界は、君以外モノクロに見えていた。だから、君が白く、ところどころ灰色がかった姿で僕の元に帰ってきた時、僕は君までもがモノクロになってしまったと思って泣いてしまった。
涙が一筋流れた途端、君の周りに色がつきはじめた。今までは君にしかついていなかった色が、君以外のすべてについた。
君と一時の別れを告げ火葬場の外に出た僕は、美しい海と空を見た。君が好きだった海と空。こんなに綺麗な場所だったんだ、と色彩を取り戻した僕は思って、また泣いてしまった。彼女からの最期の贈り物だと思った。

でもやっぱり、君が一番綺麗だよ。

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ご無沙汰してます、詠万です。
今回もまた思いついた文をただただ書き起こしただけのものです。もはや、趣味です。
みなさんは大切な人、いますでしょうか。
大切な人は、ぜひ守り抜いてくださいね。
本当にいつこの世から大切な人がいなくなってしまうか、わからない世の中ですからね。
できる限りでいいので、しっかり寄り添ってあげましょうね。彼氏・彼女のことを面倒臭いとか思っちゃダメですからね。
とかいう私は恋人、いませんがね(笑)
それでは、また。

2023年5月29日
三宅 詠万


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