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泳法の基礎と理論①

すべての泳ぎの基本となる姿勢

水泳において、正しい水平姿勢の習得はとても大切な要素です。

水の中というのは、空気のおよそ1000倍もの密度があり、水中で前進しようとするときに身体が受ける抵抗は、空気中よりもはるかに大きくなります。

水中を歩いたり、走ったりするときに、身体が重く感じるのは、この「抵抗」を受けるからです。

水泳・競泳において「抵抗」は、切っても切れないほど密接に関係する重要なキーワードです。

正しい水平姿勢を身につけることで、水中での身体が受ける抵抗を減らすことが可能になります。

水中での抵抗

①形状抵抗

一つは「形状抵抗」で、進もうとする方向に対して身体を流線型に近づけること、水中で浮力(揚力)がかかる形状を実現することで、抵抗力を究極的に減らすことができる。

この形状抵抗を減らす基本が、水泳での理想的な姿勢とされる「ストリームライン」

完璧なストリームラインを実現していたとされる北島康介さんは、飛び込み後、ターン後のスピードがライバル選手に比べて群を抜いていると言われている。

形状抵抗が少ないことは、自然と高い推進力に直結する。

②造波抵抗

二つ目に注意すべきなのが「造波抵抗」

水面に波ができることで抵抗が生まれるため、ストロークや息継ぎなどの水面の動きにも配慮が必要となる。

速い選手のストローク数はその他の選手と変わらないと言われている。

ストロークが造波抵抗を生むことから1回のストロークの効率を高めることが重要であることが分かる。

一方、キックも大きく行うより小さく数多く行うほうが波も最小限に抑えることができ、推進力が得られる。

体力も効率的に使えることになる。

③摩擦抵抗

三つ目の抵抗力は「摩擦抵抗」で、これは皮膚の産毛などが生み出す抵抗のこと。

トレーニングではどうにもできない部分であるが、ゼロコンマ数秒を争う世界では軽視できない抵抗になっている。

2009年ローマでの世界水泳で37個の世界新記録が出て、その後禁止された高速水着の機能の一つが、この摩擦抵抗を抑えることで話題を呼んだ。

ラバー素材表面に親水機能を付加して、摩擦抵抗を極限まで下げるとともに、ロングスパッツで肌の露出を低くすることで摩擦抵抗を抑えていた。

泳力以外の水着素材の商品開発が過度に進むことを危惧して、2010年には国際大会やマスターズ大会での高速水着の着用が禁じられ、スパッツも膝までの丈と定められている。

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