泳法の基礎と理論②

水の抵抗を受けにくい水平姿勢の習得

抵抗(形状抵抗)を受けにくい水平姿勢とは…

【①進行方向から見た面積が小さい姿勢】

【②肩幅から他の身体の部分がはみ出ていない姿勢】

【③できるだけ水面近くで保つ姿勢】

この3つが抵抗を受けにくい水平姿勢の条件です。

①進行方向から見た面積が小さい姿勢

進行方向から見た面積は、スイマーの姿勢や体形によって決まってきます。

人間の身体は、水中を進むために最適な形状とは言えません。

魚や海洋生物のように滑らかで突起物がなく、体の先端と後端が細ければ、最小限の抵抗で水中を進むことができますが、残念ながら人間はそのようになっていません。

ですが、それに近い姿勢を作ることは可能です。

ポイントは以下の通りです。

・頭の上で両手を合わせる

・両腕で後頭部を挟むように腕を伸ばす

・天井から引っ張られるイメージで背筋を伸ばす

・腰が折れないように、指先・肩・腰・かかとを一直線にする

上記4点を意識して姿勢を作ることで、水の抵抗を受けにくい、面積の小さな水平姿勢が作れます。

②肩幅から他の身体の部分がはみ出ていない姿勢

基本的には、人間の身体で1番幅が広い部位は肩です。

したがって肩幅からほかの身体の部位がはみ出さないようにすることも抵抗を受けにくい水平姿勢を作る上で大切になってきます。

・両腕はできるだけ肩幅の内側に収める

・足はしっかり揃えて閉じる

これらを意識しておくだけで抵抗を受けにくい姿勢に近づきます。

③できるだけ水面近くで保つ姿勢

抵抗を受けにくくする方法の1つとして、「できるだけ水面近くで水平姿勢を保つこと」があります。

身体の中でも、下半身は筋肉量が多く沈みやすくなり、その結果、頭が上がり、腰が落ちてしまう姿勢になりがちです。

腰が落ちてしまった場合は、軽くアゴを引いて上半身の方に体重をかけるようにすると水平姿勢が保ちやすくなります。

実際には、腕を回したり、キックを打ったりと水中で身体を動かします。

水中で腕や足を動かすとさらに抵抗を受けてしまうので、水面近くで姿勢を保つことで、ストローク動作などに時に、水から受ける抵抗を減らすことができます。

抵抗を減らす姿勢の重要性

水泳は、水の中を前進していくスポーツ。

そのため、前に進む「推進力」を高める技術に目が行きがちです。

ですが実際には、推進力を高めるよりも抵抗を減らす方が、スピードアップ、スムーズで効率の良い泳ぎにつながりやすいことを多くの専門家も認めています。

もちろん、推進力を高める技術も非常に大切。

それと同じくらい抵抗を減らす技術も大切なのです。

抵抗を受けにくい姿勢を作ることで、スピードアップに効果があるだけでなく、身体にかかる負担も少なくなりますし、負担が減るということは、体力の消耗を抑えることにもつながります。

水中での推進力を高めるためには

ストロークとキックにおけるフォームやパワーを追及していくことが大切です。

例えば、

陸上で速く走るため(ピッチの速さ=スピードを生む)

水泳で速く泳ぐため(ストロークの速さ=造波抵抗が大きくなる)

1回ごとのストロークの質やキックも抵抗を減らすことができるけり方を意識する。

最後に

指導者が考えた練習を参加者がただ行うだけでなく、「練習や技術の意味を参加者自らが考えて、練習に取り組む」

そして、そのことを指導者が参加者に伝えていくことが大切です。

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