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極私的ドキュメンタリー作品選

BRUTUS(ブルータス) 2021/12月号はドキュメンタリーの特集。久しぶりに雑誌を買いました。
意外に思われるのですが、私はドキュメンタリー映画が大好き。もちろん、映画(映像作品)は全般的に好きなのですが特にドキュメンタリーは大好き。
作劇では生まれない偶然のドラマ、本物のリアクション、意図的でないカメラワーク、全てに魅力を感じます。
自分がアニメの演出をしている事に無理矢理こじつけて言えば、アニメは全てが意識的であるのに対し、ドキュメンタリーは全く逆だから面白いなと思っています。
アニメは背景もキャラクターもセリフも音も、全部が作り物です。作り手の意思、意図があります。計算していないものは画面に映っていないし、全ては脚本通り、絵コンテ通り、タイムシート通り、ガチガチなんです。
ですが、ドキュメンタリーは被写体に翻弄され、監督のプランは打ち砕かれ、ドラマチックな展開は嘘くさく、むしろ逆方向から日常を輝かせて見せたりしてくれます。
(細かく言えば、どんなダイレクトシネマであっても、フレームや編集に監督の意図があり完全な意味での「無意識」のドキュメンタリーはないとは思っていますが)
なので、ナレーションがたっぷりでインタビューや劇伴有りで途中でアニメなんかが挿入されたりする類のドキュメンタリーはあんまり好きではありません。なので皆さんがよく例えにあげる〝マイケルムーア〟はそんなに面白く感じていません。例外的にその種のパイオニアである『アトミック・カフェ』は好きですが。

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