これから遠隔授業コンテンツを作る教員が知っておくべき著作権のこと

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遠隔授業における著作権法の考え方についての自分用メモとして作りましたが、他の人にも参考になればと思って公開することにしました。間違いとか誤解しそうな部分があったら教えてください。

1. 一般的に、自分が著作権を持っていないコンテンツを利用する場合は原則著作権者の許諾が必要だが、教育目的については例外規定が設けられている。

2. 授業内で用いる場合は、必要と認められる範囲において、また、著作者の権利を不当に侵害しない範囲において、他者の著作物を無許可・無償で利用することができる。

3. 公衆送信(ネット配信)については、授業をその場で受けている人の他にネットで中継を聞いている人がいる場合には、上記と同様に他者の著作物を無許可・無償で利用することができる。

4. しかし、この例外規定には、授業をその場で聞いている人が誰もいない(遠隔授業のみ)場合が規定されていないため、現行の法律に照らすと、遠隔のみの授業で他者の著作物を使う際には、許諾が必要である。

5. また、あらかじめ録音したコンテンツを履修者がオンデマンドで再生する場合(アーカイブ配信)も例外として規定されていないため、この場合も他者の著作物を使う際には、許諾が必要である。

6. 従って、現在多くの教育機関で検討されている、完全遠隔授業やアーカイブ聴講授業を行うためには、コンテンツ内で利用している他者の著作物について利用許諾を取らなければならない。

7. これを規定している著作権法第35条は、実は2018年に改正されており、この改正によって、あらかじめ権利者に補償金を支払うことによって4と5を行うことが可能になっている。

8. しかし、補償金を集めて分配する機構がまだ整備されていないので、この改正は施行されていない(2021年5月までに施行予定)。

9. 文化庁は、著作権管理事業者や団体に対して、今回のコロナウイルス流行への対応のため、「格別のご配慮」をしてほしいという要請を行っている。遠隔授業・アーカイブ授業での無償利用が許諾されるかどうかは著作者や管理団体が「格別の配慮」をするかどうかによる。
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/…/92080101_01.pdf

10. 私を含めた多くの教員は、「まあ、文化庁から事務連絡も出てるし大丈夫なんじゃないかなあ。法律自体は施行されていないとはいえ改正はされているわけだし。でもなんか言われたら嫌だなあ。大学は遠隔にしろとは言うけどクレームがきたら守ってくれるのかなあ」と不安に思いながら講義を行うだろう。

-----メモここまで

このメモを作るにあたっては、下記の資料を参考にしました。

新型コロナ対策遠隔授業における著作権法上の課題について
https://news.yahoo.co.jp/byline/kuriharakiyoshi/20200315-00167956/
栗原潔 弁理士 ITコンサルタント 金沢工業大学客員教授

2018(平成30)年5月に著作権法35条が改正されて、学校等の教育機関における情報通信技術(ICT)を活用した授業について、権利者の了解なしに著作物等が利用できる範囲が拡大されたと聞きましたが、その内容について教えてください。
https://sartras.or.jp/ufaqs/q3/
一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会 SARTRAS

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ITとヘルスケアを教える大学教員