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ゆる〜い、社寺建築講座 基本編 各部の名前

これを知っていれば社寺ガール&社寺ボーイレベル20

ここでは宮大工で一級建築士を持つ自分の使命として一般の方々にもっとお寺や神社を身近に感じていただける様な記事を描いていく

それは部材や各部の名称である、これが分かるだけでも初詣、法要、除夜の鐘で神社お寺に行く事が100倍楽しくなる事間違いなし!

では早速始めて行きたいと思う、今回は神社・お寺共通事項です

①屋根の違い
・瓦屋根(かわらやね)

京都からの発祥、ちなみにだが瓦の下に初めて住んだ人間は織田信長でそれ以前の瓦は住居以外の用途で住居は木(こば)屋根や藁屋根だったそうな


・銅板屋根(どうばんやね)

最初はピカピカ、1カ月と経たずに茶色、2年くらいでこんな色、経年すると緑色、流線形の下地を綺麗に作るのが大工の腕の見せ所

②入口屋根の違い
・流れ向拝(ながれごはい)

一般的なお寺や神社の入口に見られる形式、これが無い物は俗に『向拝無し』と言われる、玄関口である、更に雨樋なしはお客さんが濡れやすい

・大唐破風向拝(おおからはふごはい)

高級な作りとされるが流れ向拝でも形によってはそちらも高級、曲線の形により年代が違う、現代ではこのくらいの曲が一般的、銭湯と同じ!

・流れ向拝唐破風(ながれごはいからはふ)

流れ向拝と唐破風を合体させてしまったもの、昔の人は発想ユニーク、仕事上手だ!、現代で施工すると手間とマネーが掛かる仕事の1つ

③部材のあれこれ

・虹梁(こうりょう)

写真の虹梁の材種は欅、下の写真は桧
お寺や神社の部材としていろんな箇所に組み込まれている部材、彫刻してあるのが基本だが古式のタイプは彫刻が無いものもある

・木鼻(きばな)

虹梁の脇に付いている部材である、象の鼻を型取ったようなデザインから きのはな



・彫刻木鼻(ちょうこくきばな)

木鼻に彫刻を施したもの、写真は『振り向き獅子』

・蛙股(かえるまた)

カエルが股を開いたような状態なのでカエルマタと呼びます


・彫刻蛙股(ちょうこくかえるまた)

彫刻した蛙股、年代により様々多様だったりユニークな物が多かったりする、設計屋の先生方がデザインを特にこだわり抜いてしまう部材


・海老虹梁(えびこうりょう)

虹梁のバージョン違い、エビの背中が丸まっているような見た目からついた名前、作り手により細かい形は様々


・懸魚(げぎょ)

社寺以外の高級な日本建築にも付いてる場合がある、中心のものが懸魚、左右の下方にあるものは降り懸魚(くだりげぎょ)魚をモチーフとして元来は火事避けの守りとして願いをこめて付けた(魚=水)


・木連格子(きづれごうし)

屋根の三角部分(入母屋のやぎり)部分に板と格子で施工するもの、昔はキツネ格子とも呼ばれたと古書に書いてあった、住宅に多いが社寺でもアリだ!


・火灯窓(かとうまど)

開閉型、構造にも依るが半分程度しか開かない
装飾型で意匠的飾り窓、これも年代や作り手により形状は様々である、また『花頭窓(かとうまど)』や『釣鐘窓(つりがねまど)』と呼ばれる場合もある


・連子窓(れんじまど)

意匠的飾り窓の一つ、反対側が見える透かしにしたり板を貼って壁の意匠とする場合がある、写真の様に緑の緑青色(ろくしょういろ)で彩色するのが伝統
(※塗装屋さんと打合せしたのだがもう少し濃くても良かったような(汗))


・高欄・欄干(こうらん・らんかん)

良くお寺や神社に付いてる手摺です、柱の部分が高欄、手摺の部分が欄干だと思って頂ければと言う感じです、柱の頭の黒い部分は擬宝珠(ぎぼしゅ)と言い種類が幾つかあります
※建築基準法に適合させる様に作られてる物もありますが大半は装飾品です、ご注意下さい


・鎖樋(くさりとい)

一般住宅ではあまりお目に掛かれない社寺独特のデザインです、鎖の他にデザインが多数あります(※オノカップ等)、取付には万全を期していますが万一落下しますと修繕がちょいと大変ですのでお子様等の好奇心には十分ご注意下さい。
これがその『オノカップ』です、そこそこ高価なので基本の長さのみでの施工でオプション料金でないと下まで届かずな施工をしてしまう業者様も…


・木製建具(もくせいたてぐ)

建築では開閉する物は『建具』、分類として木製建具、アルミ建具、アルミサッシと分かれます、強制では無いのですが伝統を守った設計をすると写真正面の様な『唐戸(からと)』、右手の『舞良戸(まいらど)』の様な建具が多くなります


とりあえず今回は以上となりますが、お読み下さいましてありがとうございます、次回も皆様の為になるような伝統的講座をご用意したく思いますので、乞うご期待ください。


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