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地球からの贈り物vol.2 水の化石 水晶

地球からの贈り物vol.2
文 :Cajuju* 近藤康子


水の化石 水晶


  「鉱物の趣味は 《水晶》 に始まり、 《水晶》に終わる」とも言われるぐらい代表的な存在です。
私たちの一番身近な鉱物であろうと思われる《水晶》は、産地も日本をはじめ、ヒマラヤ、ブラジル、アメリカ、コロンビア、フランス、スイス、イタリア、中国などと地球上でもっとも広域に分布している鉱物なのです。クリスタルやクォーツなどとも呼ばれたりしますが、古くは「水の化石」だなんて思われていた時代もありました。一説には、 「水の神がもたらした水の宝」だと考えられていたそうです。
 確かに《水晶》は手にした瞬間、ヒヤッと冷たい感じがします。これはガラスとの見分け方のひとつとしても知られています。


 皆様もよくご存知のこの 《水晶》 は、一ミリ成長するのになんと百年もかかると言われています。身長一六〇センチの人間に例えるならば、一六〇〇ミリ成長するのに、なんと十六万年ですよ!まあ、人間に例えることもないですけどね。
私の水晶コレクションの一番の宝物は『アーカンソー産水晶の六角柱クラスター』です。とても美しい水晶が採れるアメリカ合衆国のアーカンソー州は、地球の磁心に位置しているためか、より強力なエネルギーを受けているとされ、比類なき透明感とシャープなエッジが特徴の、ベッピンさん水晶なのです。吸い込まれそうな「この子」の長さを測ってみると、六センチでした。ということは・・・なんと、六千年です。六千年の時を経て、今、私の手に載っているのです。


 地中で成長し続けていく中で、天変地異を経験し、結晶の内部にクラック(亀裂)が生じたりします。 すると、その痕跡に光が当たってその反射によって虹色の輝きを見せてくれます。


このような水晶を『レインボークォーツ※1)』 といいます。クラック (亀裂)を持つ水晶がすべてレインボーを見せてくれるかと言うと、そうでもなくて、これはそのクラック部分にできる膜のようなものの加減によるようです。見れたらラッキーですね。
 そして、水晶は更に成長を続けて、時には落雷に見舞われたと思われる『落雷痕』がある水晶もあります。このような水晶は『ライトニングクォーツ※2』という名前が付けられます。


 また、天然の水晶をルーペなどでよく見てみると、その中にいろいろなものが入り混じっているものがあり、 これをインクルージョン(内包物、含有物)と呼びます。これは水晶の成長過程で自然に閉じこめられたものです。

 インクルージョンには気体だったり、液体、固体など、一つだけだったり、混在して入っているもあります。このインクルージョンは水晶だけでなく他の宝石や鉱石にもみられるものです。


  『ガーデンクォーツ※3』は聞いたことがある方も多いと思いますが、これはクローライトなどの内包物が作る自然の芸術です。透き通る水晶の中に、まるで庭園か、はたまた海底の珊瑚礁かと思えるような光景が見られる魅力的な水晶で、事業の金運としても人気の石ですね。


 大変稀少な『クォーツインクォーツ※4』と呼ばれる、水晶の中に別の出来上がった水晶の先端部が取り込まれてしまったものもあります。クォーツの中にクォーツが入り込んでいるように見えるため『貫入水晶』とも呼ばれます。


また、 『ファントムクォーツ※5』と呼ばれる水晶は、中に見える山が1つの物を『山入水晶』 、山が幾重にも重なった風景のように見える物を『幻影(げんえい)水晶』という別名もあります。これは、一旦成長を止めた水晶の先端に気泡やクローライトなどの他の鉱物が取り込まれて、再び成長を始めたために、山のような模様ができた水晶です。この成長を繰り返し、たくさんの山が重なった『ファントムピラミッド※6』と呼ばれるとても美しい山の風景を見せてくれるものもあります。
他にも、 『草入り水晶』 『水入り水晶』『針入り水晶 (ルチルクォーツ)』などもあります。


そして、水晶の仲間にはアルミニウムや鉄分、天然の放射線等によって発色した有色水晶があります。代表的な紫色の『アメジスト』は、二月の誕生石としても有名です。この紫色は、微量に含有された鉄イオンによる発色だとされています。色の濃いものほど評価も高く、特に日本では紫は最も高貴な色とされるためか、年齢性別を問わず人気の石です。アメジストの紫色は個体差もありますが、日光の紫外線で退色しますので直射日光を避けるなど取り扱いには注意が必要ですよ。
 次に女性に人気のあるピンク色の 『ローズクォーツ』は、愛の石としても人気ですね。このピンク色は、チタン、鉄、マンガンに由来するものとされ、このローズクォーツのピンク色もまた、紫外線に敏感で、退色しやすいと言われています。透明度の高いきれいなピンクのローズクォーツは、 『紅水晶』と呼ばれることもあります。


 太陽のように黄色く輝く『シトリン』は、和名を『黄水晶』と言います。古くから商人達の間で、 「商売繁盛」 、「金運を呼ぶ石」として非常に人気のある石ですね。この石を『シトリントパーズ』なんて呼んでいた頃もありました。『シトリン』と『トパーズ』はもともと全く別の石なんですけどね。高価な『トパーズ』に似ているために、そう呼ばれていたようです。また、天然に発色したシトリンは大変希少で、現在の市場に流通しているほとんどのシトリンは、アメジストやスモーキークォーツを加熱処理をして黄色く発色させたもので、その発色具合によって、アメトリンやスモーキーシトリン、レモンクォーツなどの名前が付けられています。


さて、色々な水晶の仲間についてご紹介しましたが、水晶に興味を持って頂き、石好きさんが増えるのではないかと、ワクワクしています。

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