[第7回] 失敗例から学んでほしいダメなTableauの使い方

miyabiiです。
Tableauサイト管理者 兼 DATA Saber挑戦中のApprenticeとして、考えたことや学んだことをシェアしていきます。
第7回は、ダメなTableauの使い方とその問題点について紹介します。残念ながら実話です。


ダメなTableauの使い方1:巨大なクロス集計表

笑っちゃいけないのですが、DATA Saberの最終技術課題「ZEN問答」と全く同じ状況が目の前で展開されていました。本当によくあるパターンなのだと思います。

DATA Saber Boot Camp Week6 "DATA Saber の ZEN問答~社内でミカタを増やすには?"より引用

一応エクスキューズすると、そのプロジェクトでは、従来の手作りExcelと同じものをTableauで再現することが必須成果物と定義されているため、まずは再現した後にビジュアライズによる進化を図るという計画になっています。

ダメポイントが山盛り

今回の「ただの巨大なクロス集計表」をあえて再現したことで気付いたこと、それは表計算ツールと比べTableauのほうがより使いにくい! Tableau(高機能かつ高コストなBIツール)を使う価値が出せないどころか、劣化しています。ダメなポイントは以下のとおり。

  • 項目名が尻切れで表示される。Excelの「セルの内容を折り返して全体を表示する」という機能はTableauにはありません。列幅を広くすることで項目名を全て表示できますが、表全体の幅も広がり、ダッシュボードに収まらなくなります。

  • ダッシュボードのサイズが固定されるため、縦横のスクロールが発生して、とにかく使いにくい。

  • Excelでいう「ウィンドウ枠の固定」ができないため、スクロールしていくと、どのセルが何の項目なのか分からなくなります。

DATA Saberプログラムを学んで分かった、Tableauでの効果的なクロス集計表の使い方

DATA Saberプログラムにおいて、クロス集計表の使用は絶対NGというわけではありません。グラフは全体感や特徴を素早く把握するのが得意なのに対し、クロス集計表の長所は分かりやすく数値を確認できる点。ダッシュボード上でグラフと組み合わせて並べ、グラフと連動するフィルタやハイライトを用いて着目すべき数値が際立つように使うことが、クロス集計表のベストプラクティスのひとつとして提示されています。

ダメなTableauの使い方2:大量データのダウンロードツール

2つ目は、データ量がとにかく多いDBからExcel業務で使うデータを絞り込んでダウンロードするというダメ事例です。

ツール選定のいきさつ ~決め手はデータ量の上限

DBがBigQueryのため、最初に検討したのはGoogleスプレッドシートの利用です。同じGoogleのサービスで相性も良いのですが、ノックアウトがデータ量。セル数の上限が1000万のため、業務データ全量を出力することができませんでした。

Tableauは、この大量データをクロス集計表でダウンロードできるということで、見事ツール選定でGoogleスプレッドシートに勝利。

Tableauクロス集計表の弱点?仕様です!

とはいえTableauがダウンロードツールとして使いやすい訳ではありません。ダメなポイントは以下のとおり。

  • 行シェルフに表示できるのは最大 50 個(つまり、表に最大 50 項目の列を表示)。

  • 50項目を超える場合は、右端の列が表示されずに非表示になる。右端に出力したいキー項目が画面上では見えないため、一体どのデータが表示・出力されるのか見分けられない。

  • 遅い。データ量が多すぎるため、DB接続にもレンダリングにも時間がかかる。

行シェルフの上限50個は、バージョン2019.4まで16個だったところから増えてはいるのですが、そもそも適切なビジュアライズする上でこれ以上の列を並べるべきではないという背景があると聞きました。さもありなん。

DATA Saberプログラムを学んで分かった、最もダメなポイント

最もダメなポイントは、インサイトが何も得られないこと。

DATA Saberプログラムにおいて、データからインサイトを得てアクションを引き出すことがゴールであり、インサイトがないのはその対極であり最悪です。

使いにくいが、Tableauをあえて選んだ理由は「入り口」だから

間違った使い方なので、使いにくい・遅いと良いとこなしですが、それでもTableauを使うのは、今後のデータ利活用の展開を見据えTableauをメインツールとするためです。初手はデータソースをそのままダウンロードするだけになっていますが、Tableau上でデータを見て触る体験を経て、Tableauらしいデータ分析を行う際のデータソースとして使われることを狙っていきます。

まとめ

ダメ事例は、2つともクロス集計表にまつわるケースで、Tableauはクロス集計表が苦手と言われますが、具体的にどういう問題を引き起こすか実感できました。こんな使い方はせず、ツールは特長を生かすように使うのが一番です。そこでTableauの得意技「ダッシュボード上でのインタラクティブな図表の連動させるアクション機能」を活かし、クロス集計表の長所が際立つ表現になると、ぐっとレベルアップすると思います。

【backnumber】
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[第2回] Tableauのパーミッションはベストプラクティスを死守すべし!
[第3回] 新しい運用ルールの決め方 ~パーミッション続編
[第4回] 権限制御はどこに実装する? ~Tableauとデータベースの機能分担について
[第5回] Tableauでの行レベル/列レベルセキュリティの実現方法あれこれ
[第6回] Tableauからデータベースへのアクセス時の認証について
[第7回] 失敗例から学んでほしいダメなTableauの使い方
[第8回] クリーニングから始まるTableau Cloud移行
[第9回] Vizが遅い?! ~TableauCloud移行で性能に悩んだ話

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