セーラの叔父さま 4話
叔父さまの執事
なんだかんだとしているうちにようやくフランスに行く日がやって来た。
馬車に乗ったり船に乗ったり現代に比べるとかなり大変ではあるけれどインドからロンドンに行くことを考えるとかなり楽なんじゃないかと思う。
叔父さまの家はパリの郊外。
結構大きな邸宅というか城と言ってもいいのかな。
セーラはインドでゴージャスな生活をしていたから別に驚きはしないだろうけど日本の中年のおばさんはやっぱりびっくりするのですよ。
一条ゆかりの漫画に出てくるようなゴージャスなお屋敷。
こんなのって美術館とか博物館クラスだよね。
・・・おっと・・・キョロキョロしてると大金持ちのお嬢様じゃないと疑われそうだ。
平然とした態度を心がけなくては・・・。
大きな扉の中から男性が現れる。
背が高くてがっしりとした体型。
頭は・・・ハゲ・・・じゃなくて頭髪がない・・・と言わねばならないかな?
服装は蝶ネクタイをしてきちんとした身なり。
私がイメージしていた叔父さまとは全く違うけど・・・
好み!直球ど真ん中!!
私って何故か禿げてる男性が好みなのよね。
ほら、例えばユル・ブリンナーとかテリー・サバラスとか・・・。
え?古い?知らない?
じゃあ漫画だと宗像教授(星野宣之)ってわかるかなあ?
*画像は宗像教授。昔、私が描いた似顔絵です。
思わずぼーっとその男性を見つめていたら、その男性は軽く会釈して
「セーラお嬢様でございますね。旦那様は生憎出かけておりますが中でゆっくりお待ちいただくように仰せつかっております。」
あ、執事さんだったのね。
そうよね、これだけ大きいお屋敷で旦那様が直接出てきたりしないわよね。
やっぱり平凡な主婦にゴージャスは似合わない。
通された部屋は広くて天井も高く大きな窓がいくつもあって窓にかかっているカーテンは見るからに重厚そうな布で出来ていて普段ニトリのカーテンぐらいしか見たことのない私はびびってしまうのです。
ソファーも大きくて座ると体が沈み込んでしまいます。
大理石の大きな暖炉もあるし・・・
映画の世界とでも言いましょうか。私の貧素な語彙力では上手く説明出来そうにありません。
メイドさんが美しいカップに入った飲み物を持ってきてくれる。
中の人である私はドキドキしてどうすれば良いのかわからないけど、セーラ自身はこんな時どうすればいいかわかっているから落ち着き払って飲み物を飲んでくれる。
こういうときはご都合主義と言われそうだけど非常に助かる設定です。
しばらくして執事もメイドもいなくなって広い部屋に私と私付きの専用メイドであるマリエットだけになった。
「ねえマリエット、叔父さまはいつお戻りになるのかしら?
早くお目にかかりたいのに・・・」
「大丈夫ですよお嬢様。もうじき戻られますよ。
旅でお疲れになっていますから、それまでゆっくりなさると良いと思います。」