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傘化け

古い傘が変化した妖怪。
「から傘」「傘おばけ」「からかさ小僧」などとも呼ばれる。

これも前回取り上げた「ばけぞうり」と同じく付喪神(つくもがみ)。

付喪神とは、人間の生活で使用する道具が年月を経て古くなると変化する能力を持つという
考えから生まれたものである。

一般的には、軸を下にしてたたんだ状態で表現されるが、飛ぶときは開いていたりする。
傘の軸が1本であることからこの妖怪も一本足で飛び跳ねるようにして移動する。
足に下駄を履いている場合が多い。
傘の部分が顔になっており、目が一つついている。

暗くなってから家の周りを飛び跳ね、人に出会うと大きな赤い舌を出して驚かす。
ただそれだけだ。

一人で暗い夜道を歩いていて、傘をすぼめた状態で歩いている人に出会ったら、
「で・・・出た~~~~!」・・・と腰を抜かすかもしれない。

闇は人間にとって恐怖である。
闇の中に何かが潜んでいるかもしれない・・・。
しかし、闇の中だと何も見えない。
突然襲われたらどうしよう?逃げられるだろうか??
・・・と不安になりながら夜道を急ぐ・・・。
現代ではそういう夜道を歩く機会は滅多に無いと思う。
しかし・・・恐怖は<夜道>だからではなくて、
<見えない>という不安が恐怖を生むのだ。

<見えない>=<わからない>

自分がわからないもの、理解できないものに人間は恐怖する。
その恐怖を<妖怪>というものに転化して<わかるもの>にした昔の人の知恵は素晴らしい。
<わかるもの>なら怖さも薄らぐ。
夜道を歩く<傘化け>を見てもあらかじめ、こいつは単に人間を驚かすだけの妖怪だと知っていたら、
ま、多少は怖いしびっくりするけれど・・・
とりあえず、自分は<傘化け>に出会ったんだ。と納得出来るのだ。

傘化けぐらいなら、ちょっと出会ってみたいと思うのだが・・・一人で出会うのはちょっと怖い。
誰か私と一緒に傘化けに会いに夜道を歩こうという奇特な人はいないだろうか?
現代だと夜道に現れるのはせいぜい<痴漢>か<誘拐犯>ぐらい?
いやいや・・・そういう輩は貧乏なおばさんは狙わないって?


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