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円安と値上げをわかりやすく解説してみる

「円安って、具体的に何がどうなってるの?」

そんな疑問が頭の中を駆け巡った三連休。
頭の中の整理のために、円安や値上げについてまとめてみました。

(※専門家の文章ではないため、そこはご了承ください)


【読了目安:7〜8分】


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1.円安とはなにか?


「円安」は少し簡単に言い換えると
「海外で作られるものを日本で買おうとすると、以前に比べて高くなっている状態」のことです。

ここでいう"以前"は、いったん今年の1月ってことにします。
ちなみに今年の1月は1ドル115円でした💸

今は1ドル約145円。
この30円の差はなんなんでしょうか?

これは115円で買えていたアメリカのお菓子が145円になった、ということです。
たかが30円、されど30円です。

少し金額を上げて考えてみると、その差額が大きく感じられます。
今年1月に10万円で買えたアメリカの家電が、12.6万円になった、ということ。

iPhoneの値上げもコレなんですが、少しわかりにくいので具体的な値段を出しながら補足します。

2019年に発表されたiPhone 11 Pro Maxはアメリカで買うと1,099ドル。
そして今年2022年に発表されたiPhone 14 Pro Maxは、アメリカで買うと1,099ドル。
値段は変わっていませんよね。

ただ、日本円での価格は
iPhone 11 Pro Max→12万円(当時)
iPhone 14 Pro Max→16.5万円

です。

2019年は1ドル107円でしたので、今(1ドル145円)よりも、1ドルあたり40円ほど安かった。だからアメリカ製のものを"安く買えた"わけです。

今に視点を戻すと、その逆になっています。
2019年に比べて、1ドルあたり40円くらい高い。だから、『円が安くて、ドルが高い』状態。

『1ドル145円』と表示されると円が高く見えますが、違います。


『円が安くなる』はどういうことかというと、
「世界中で日本円を欲しい人が少なくなる」ということ。

簡単にいうと、日本の人気が落ちている状態。

この状態だと、どうなるか。
「海外から日本に旅行にくる人はめっちゃ得する」が起こります。

これをもっとわかりやすく言い換えをしてみます。

例えば、日本でも地方のホテルは安くて、都会のホテルは高いですよね。

それは「需要があるから高い」んです。
ある程度高く設定しても泊まりたい人がいる。

東京で30,000円のホテルだと「まぁ…あるよな」となるものの、鳥取で30,000円だと「…ちょっと高くない?」と感じるのと同じ。(鳥取の人すみません)

『地方"安"、都会"高"』
これと同じことがドル⇄円で起きています。

それが『円"安"、ドル"高"』です。

再度、旅行の話にしてみると
いつもは地方にいる人が東京を旅行すると「東京は高いね〜」ってなりますよね。

その逆で、いつも東京にいる人が地方を旅行すると「地方は安いね〜」ってなるわけです。

実はドル⇄円も同じ。

『円安、ドル高』のとき、いつも円を使う人が、ドルを使うアメリカ旅行をすると「アメリカは高いね〜」となり、

逆にいつもドルを使う人(ここでは外国に住む人とします)が、円を使う日本旅行をすると「日本は安いね〜」となるわけです。

「円安は海外が高い!」と言われるのは、これが理由です。

2.円安は"悪いこと"なのか?


では円安は悪いことなのか?という話をします。

よく「円安は輸出企業が儲かる」などと言われます。その理由は、日本製品が、海外にとって安くなるので、"売れやすくなるから"です。
(厳密にいうと、どこに生産拠点を持っているかなども影響しますが、それは少し割愛します)

しかし、個人規模での話をすると基本的には「損を感じること」が多いはずです。

ガソリンや小麦など、日本で作ることが難しいものは輸入に頼ります。
iPhoneの話と同じく、円安の状態だと海外のものを日本で買うと高くなるので、基本は『値上げ』をしなくてはいけません。

3.二つの「値上げ」とは?


ただ、ややこしいのがその『値上げ』も2種類あるんです。

1つ目は『原材料の価格高騰』による値上げ。
2つ目は『円安』による値上げです。
これから1つずつ解説します。

1つ目の『原材料の価格高騰による値上げ』は、
干ばつや戦争などで、そもそもモノを作ることが難しくなり、欲しい人の需要は変わらないのに、供給する量が減った時に起こります。
小麦やガソリン(原油)などはこれにあたります。

ロシアとウクライナの軍事衝突で、2〜5月頃にこれが浮き彫りになりました。

2つ目の『円安による値上げ』は、まさしく今の状態です。
世界で円を欲しい人が減り、円の価値が下がり、輸入するものの値段がシンプルに上がる。

2022年9月現在の日本は『原材料の価格高騰による値上げ』からの『円安による値上げ』のダブルパンチを食らっているわけです。

4.「値上げ」による影響


それで何が起こるのかというと、単純に「出費が増える」です。
光熱費や食料品、生活必需品の値段が上がっても"必需品"なので買わなきゃいけない。

買うものや量は同じでも、値上げが起きると、支出が増えるので家計に響きますよね。

こうして必需品のための支出が増えると、自然と「贅沢品は少し我慢しよう」となるわけです。

モノの値段が上がる→我慢しようとしてお金を使わなくなる→モノが売れにくくなる…のサイクルが起きます。

うん、聞いた感じ、かなりやばそうですね。
(※スタグフレーションとも言います。気になる人は調べてみてください)

しかし、同時に「収入も増える」が起きていたら、問題はありません。
値段が上がった分だけ、収入も増えていれば使えるお金は変わりませんので。

いわゆる通常の「インフレーション」は
『モノの値段が上がる→モノが売れる→給料も上がる→モノを買う』のサイクルを指しますが、今はどうでしょう。

『モノの値段は上がるが給料は上がらない』

ので、上記サイクルが作れません。
それには大きなカラクリがあって、『モノの値段が上がる理由』が重要なんです。

5.「値上げ」と「給料」


現在は、
①原材料価格の高騰
②円安
による"値上げ"が起きていると解説しました。
それは景気に依らずに「仕方なく値上げしている」状態なので、

好循環のサイクルを作るための
「需要が高まって値上げ」や
「給料が上がり、消費が増えたから値上げ」
という、ポジティブな理由の値上げじゃないんです。

社会は「仕方なく値上げしている」ので、企業からしたら打ち手がなく、
ここで給料を上げてしまうと自分たちの首を絞めることになるわけです。
モノは売れていないですからね。単純に出ていくお金が増えていくだけ。

しかし企業も労働者を確保/維持するために
内部留保と呼ばれる"蓄えたお金"を使って、従業員に一時金などを払ったり、
ベースアップを少しでも頑張ろうとします。が、払えない企業もあります。

これが「大企業は耐えられるけど中小企業は耐えられない」の縮図です。
大企業は基本的に内部留保のお金が多いですが、中小企業にはそのパワーがないことが多いです。

とは言っても、企業だってずっとは耐えられません。

企業はどうするかというと、「国・政府助けて!」となります。

そこで議論になるのが「政府はどういう対策をするのか」というところです。

では、政府の対策を見てみましょう。

6.経済政策とその効果

【一律○○万円給付】
値上げにより支出が増え、家計を圧迫している人たちに一時金を給付することで支援をします。
基本的に収入が少ない人たちの方が、収入における生活必需品の購入費の割合が高いので、支援対象は生活保護受給世帯や非課税世帯が対象になります。
(=手取り50万円の人よりも、手取り15万円の人の方が、収入における"生きていくために絶対に使わなきゃいけないお金"の割合が多い)

ただ、その理論はわかってはいても
「いや、値上げはみんなツラいだろ!」
という意見が国民から出てきます。当たり前ですよね。

実際に、全国民における
生活保護受給世帯は1.64%
住民税非課税世帯は23.7%
なので、これらを除く75%の人たちは「理屈はわかってるけどなんか損した感情」を持つのも不思議じゃないですよね。

それに住民税非課税世帯のうち60代以上の割合が8割以上。この事実だけを見ると、

「若い世代には冷たいのか!」
「政府は投票率の高いシニア層を支援する政策で選挙を有利にしたいのか!」
と批判が出てくるわけです。
それに、批判をする世代(20〜50代が中心)はTwitterのようなSNSを使うので目につきやすいです。

では、視点を変えて次の政策。

【旅行代金の補助】
この目的はただ1つ。「国内旅行を安くするから、もっとみんな"お金"を使って!!」です。
旅行をした人はお金を落としてくれるので、地方も潤いますし、円安で海外に行きにくい状況だからこそ「国内だったら行くよね?」と、拍車をかけられるわけです。

しかしこれにも問題が。
旅行に行く人って限られて、全員ではない。
しかも「安くするためにクーポンなどに使われる財源は、国民の納付した税金」なので、納得いかない人も出てきます。

ただ、旅行をするメイン世代の若者はここまで僕が長ったらしく説明した仕組みを理解しないまま、ニュースの見出しや旅行サイトの割引金額だけで判断します。

すると何が起こるか。
「え、安くなるの?ラッキー!」
と、若者や働き盛り世代の政府への不信感が少し緩和され(る可能性があり)ます。

なので、前述の現金給付とほぼ同じタイミングでこういった旅行代金補助の話が出るのは、ある意味で"火消し"のような意味合いも含まれるのではと推察されます。

ただ、それでは満足しない人も多いので。
そこで求められるのが

①消費税の減税
②社会保険料の引き下げ
③国民全員への現金一律給付

などの「全員に当てはまる政策」なんです。
ただそれには莫大なコストがかかるので、わかっていても、政府はなかなか踏み出すことができない状況にあります。

7.まとめ


円安とは、「日本の通貨の人気が落ちてしまう」こと。

現在の値上げは、「原材料の価格高騰」と「円安」が原因の2種類ある。

良い値上げは、「需要の増」や「給与の増による景気の良化」によるもの

現在はその値上げではないため、生活を圧迫するのみとなっている。

国民は「全員に当てはまる政策」を政府に対して求めるが、なかなか難しい。

追記

と、ここまで整理してみると

上記で挙げた政策は、今年の7月の参議院議員選挙での「論点」になっていたことに気がつきます。

(あら、不思議)

景気やそれに付随する政策は、僕たち国民全員に影響することなのですが、仕組みやカラクリを理解していないと、本当に"わからない"のです。

僕が今回、この記事を書くことにしたのは
「為替介入ってなんだよ…」
「円安ってちゃんと説明できないな…」
と、ニュースを見て感じたのがきっかけでした。

そういう「悔しさ」や「もどかしさ」をバネに
連休を使って、中高生向けの記事を読んだり、YouTubeの色々な動画を観たりしました。

もちろん専門家ではないので、少しニュアンスが違うこともあるかと思います。
(もし見当違いがあればぜひ教えていただけるとありがたいです)

ただ、こうやって書いてみて頭の中が少しスッキリしたのでよく寝られそうです。
少しでも皆さんの参考になりますように。ではっ。

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