【ボートレース研究中】オッズ下落仮説~「おいしい」オッズに人は飛びつく
ボートレース配信を見ていると、出演者が「オッズ下がったな~」と、自分が舟券を購入した時とのオッズの乖離を嘆いているシーンをよく見かける。
この記事は、そんな「オッズが下がる目」は一体どこなのか、について考えていくものである。何分個人の調査では採取できるサンプルに限界があるため、この議題については長い時間と、多くの人手をもって立ち向かっていきたい。その意味で、ここに掲示する内容はまだ「研究中」であり、「仮説」に過ぎないことを初めに断っておく。
本題~オッズが低下する目とは?
まず前提として、人気となる目は、なぜ人気となるのか。もちろん、その目で決着しそうだからだ。それを踏まえると、人気になる目は以下の2つである。
・強い選手が頭となる目
・インが頭となる目
ここまではアホでもわかる話だが、これは同時に、「その目が買われやすい」=「オッズの低下を招きやすい」ということに他ならない。
逆に言えば、これ以外の目、「弱い選手が頭となる目」や「イン以外が頭となる目」は、オッズが締め切りに向かって下がっていくことはあまりない。すなわち、事前情報で万舟が付くような目が、いきなり万舟を切って一気に下がるということは、異常投票でもない限りほとんどないと考えて良いのである。
もちろん例外はある。チルトを跳ねている、展示タイムが爆速である、予期せぬ前付けで進入が滅茶苦茶になる。それらの場合はそれらの場合として目をつぶっておいて、今回は「普通の」レースに的を絞ってオッズの低下を考える。
具体例を用いた考察
今回考えるのは、6月1日の宮島開催。一般戦だ。オッズの低下を考える際は一般戦が最も良い。G1やSGは元から売上が多いため、締め切り前後とはいえ大きくオッズが変動するということはあまり多くない。それに比べ、売上の少ない一般戦は締め切り前後で大きく票数が動く。サンプルとして、今日の宮島10Rの、締め切り6分30秒前からの3連単票数変化を提示する。
この通り、わずか7分で売上が780万円から約4,000万円、5倍に化けた。同時刻に行われたG1・戸田10Rの売上は締め切り6分前:約6,000万円→締め切り時:約1億3,300万円と2倍強だったことを考えると、どれだけ一般戦のオッズ市場が弾力性に富んでいるかが分かる。
そして、宮島10Rの出走表をチェックする。
読者の皆様にお願いしたいのは、「なんとなくこの目で決まるだろう」「ここが人気になりそうだ」という感覚を持っておくこと。メンバーを見る限り売れるのは1-235-235、235-1-235といったところだろうか。これを踏まえて、締め切り6分30秒前のオッズを以下に提示する。
やはり1-235-235あたりに人気が集中しており、2-1-35も枠を考えれば売れている。
おいしいオッズはどこか?
ここで考えてほしいのは、「ファンがどのオッズがおいしいと感じるか」だ。
例えば、1-2-5は1番人気で、外枠の5号艇が絡んでいるだけに、ここがおいしいと感じる人はそう多くはないはず。同様の理由で、インが敗れる2-1-35も24倍では旨味があまりない。一方で、1-3-2の17.8倍などはおいしいと感じる人も多いのではないか。ボートレースの基本、1-2-3、1-3-2の内片方で決まれば17倍だ。また、人気の盲点となっている4号艇絡みのオッズも相当高くなっており、「5より4だろう」と考える人が多ければ、1-4系統などは相当に魅力的なオッズに映るはずだ。
それらの考えを踏まえて、締め切り時のオッズを確認しよう。ここまでで考えた、「ここが人気になりそうだ」と、「ファンはここがおいしいと感じるだろう」を思い出しながら見てほしい。
どうだろうか。1番人気の1-2-5は8.4→8.3とほとんど変わらなかったのに対し、1-3-2は17.8倍→14.6倍に低下。軒並み40倍~50倍近くを付けていた1-4-235は全て30倍台に低下し、1-4-6に至っては92倍が71倍に低下している。
一方で、1-5系はあまり旨味がないと判断されたかあまり変わらず、イン以外を見ると2-1こそ2-1-3以外はやや低下傾向にあるが、3-1、5-1などはほとんどがオッズを上げる結果となっている。
以下は、このレースにおいて締め切り6分30秒前から締め切りまでにオッズが10%以上下落した買い目を示した表である。
1からの3,4絡みが軒並みオッズの低下を招いたことが分かる。すなわち、このレースでは1-3、1-4系統が購入者から「おいしい」と判断され、買われたことになる。この感覚は、読者の皆さんもそうそう大きくは外れなかったはずだ。
もちろん、6分30秒前時点で1番人気だった1-2-5にはすでに相応の票が入っているため、オッズが動きにくくなっていることは確かだ。しかし、上で触れた通り市場が5倍になっていることを考えると、この1-3、1-4の買われ方が顕著だったことは一目瞭然だろう。
自分の考えていることは他の購入者も考えている
これらのオッズの低下は、冒頭「本題へ」で触れた2つの「売れる条件」
・強い選手が頭となる目
・インが頭となる目
これらの目で起こりやすい。したがって、イン以外でも2,3,4枠のA1選手から同様の事象が起こることは多分にしてある。逆に言えば、これ以外の目ではあまりオッズの上下は気にしなくて良い。
ここで何を言いたいかというと、「自分が考えていることは他の購入者にとっくにバレている」ということ。自分がおいしいと思ったオッズは他の購入者もどうように買い時だと思っているし、みんながそこに飛びつけば当然オッズは大きく落ちていく。
では、そのオッズの低下にはどう抗っていけばよいのか。答えは2パターン存在する。
①オッズの低下を織り込んで買う
一つ目は、オッズの低下を予測して買うこと。今回のようにオッズが30%も下落することはなかなかないが、ちょっとでも「おいしい」所を狙うのであれば、オッズが10%~20%、実数字で数倍~十数倍は下がることを織り込んで買わなければならない。
②他の購入者が知らない「おいしい目」を開拓する
もう一つは、他の購入者が知りえないような自分だけ(が持っているかもしれない)情報を基に、別の「おいしい目」を開拓すること。今回の宮島10Rの結果は、5-3-1で19,970円だった。この目は、締め切り6分30秒前と比較すると125.6→199.7へと約60%上昇している。選手や場の特性を理解し、オッズが跳ね上がっているがここで決まりそうだと思う目を買う、これが他の購入者を出し抜く最良の方法といえるだろう。しかし、これを習得するには相応の時間を必要とすることは、読者の皆さんの想像する通りである。
「締め切りギリギリに買えば良いのではないか?」という意見もあると思うが、オッズが一番変動するのは締め切り直前と直後なのだ。上で示した票数推移表を見ればわかる通り、1分前と締め切り後で売上が2600万円から4000万円へと、約1.5倍に跳ね上がっている。したがって、1分前だからといってそのオッズを鵜呑みにして買うことは、オッズゲーム上得策とは言えないのである。
まとめ
今回は1レースだけを切り取って考察したに過ぎないため、本当にこの仮説が正しいのかどうかはさらにサンプルを採取して考察していくしかない。そもそも人によって「おいしい」と感じる目はバラバラであるため、明確な一つの答えというものは出ない可能性も高い。しかし、以下の2つを読者の皆さんには覚えておいていただきたい。
・オッズは購入者全員の「なんとなく」で構成されており、その「なんとなく」の平均がオッズとして表れている。
・他の購入者の「なんとなく」を感知する一般的な感覚を身に付けておくことで、自分と他の購入者の「おいしい」のズレを感じ取ることができる。
オッズゲームで勝つためには、一般的な感覚を養った上で、この「ズレ」をどう舟券に活かしていくか。これが、勝利への近道といえるのではないか。
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