23.09.24 vs ガンバ大阪

『やるべき事』は変わらず


スタメン

浦和は20日のACL初戦、武漢戦から中3日とタイトなスケジュール。しかも追いつき追い抜かれという試合展開で2-2のドロー。簡単には勝たせてくれない。これぞACLだと感じました。
浦和は武漢戦からスタメンを5人変え、
右サイドは、左利きで窮屈そうだった荻原と、慣れないサイドを任された高橋から、酒井が復帰、さらに大久保が怪我の中、組織守備を遂行できる小泉がSHに。
左サイドは、小泉・大畑と、攻撃のバリエーションも乏しく、守備もがたがたであったコンビから、関根・荻原コンビに戻し、今シーズン4度目のガンバ大阪と対戦しました。

前半に作れた自分たちの時間

試合開始から浦和がボールを持ち、攻め立てる展開に。
ガンバ大阪は4-4-1-1の守備配置。
1-1のアラーノとジェバリの動きですが、アラーノは浦和アンカーである岩尾の監視。ジェバリはどっちかのCBへ。
浦和の2トップのようにCB+アンカーの3人を2人がマークを渡し合って追うのではなく、2人を捕まえて終了だったので、余ったCBがボールを持てば簡単に2トップのラインを越える事は出来ました。
そこからの配球ですが、
①3:35
食野は内を切りながら浦和の左SBに出てくる選手を。中野は自分の前にいる選手に付けば良いのですが、関根が降りたタイミングで荻原がインナーラップしたので、中野が前へ出て、関根がワンタッチで中野の裏を取るプレーが出ました。関根・荻原のコンビネーションが炸裂しました。
また、38:50では左SBのポジションを使わなくとも食野の裏を通すことも出来たので、ガンバ大阪の守備組織の脆さは否めませんでした。
②5:12
また、逆サイドでは酒井が高い位置を取り、小泉が内側を取っています。
酒井であれば空中戦最強なので、ホイブラーデンからピンポイントのフィードを出し、落ち着いてトラップし上がりを待つシーンや、ヘディングで黒川の裏に流すシーンも作れました。

相手を押し込んでからですが、右サイドで酒井がボールを持った際。
敦樹と小泉の連動が特に目立ちました。
①敦樹を使う
敦樹がハーフスペースの奥に走りこむのは今シーズンの十八番。
勿論敦樹が外にいれば酒井がこのランをすることもありますが、そのままダイレクトで折り返す事を得意としています。
②小泉を使う
敦樹の裏へのランに合わせて小泉は横パスの選択肢を作ります。
今回でいえば、宇佐美からバックステップで引いて距離を取り、自分で持てるスペースを作ります。小泉はこのバックステップで1歩2歩引いてボールコントロールしパスを出すことが非常に上手いと思います。ここから逆サイドまで振ることも可能ですし、敦樹を使うことも、ゴール前にクロスを上げることも出来ます。
岩尾を経由するのも良いのですが、26:20ではこの横パスをカットされピンチを迎えました。

また、仮に相手に取られたとしても、ガンバ大阪は4-4と1-1の間がかなり空いていたので岩尾や小泉でセカンドボールを回収することができ、2次攻撃、3次攻撃と攻撃を止めない展開を作れました。

一方ガンバ大阪のボール保持。
一応ガンバ大阪の配置は4-1-2-3で良いと思いますが、左サイドの宇佐美は外レーンよりは内側でプレーしたい選手。外のレーンは黒川に任せたりすることが多くありました。
11:20。GK東口を経由し、福岡にボールが渡ったシーン。
2トップがCBに規制をかけることが出来なかったので、小泉がプレス。
黒川に出されるのは分かっているので、酒井が狙いを付ける事は出来ましたが、小泉が足を滑らせ福岡にもう一度持たれてしまいます。
ですが、内側からの敦樹のプレスにより外に逃げ、宇佐美へ。ここにもショルツが狙いを付けていましたのでがっつりアタック。ここで跳ね返すのが一番理想だったと思いますが、アラーノに落とされました。ですがその時にはもう4vs1の状況に。
浦和の狙い通り、内側から外へ追い出し、獲り切ることが出来ました。

ガンバ大阪がボールを繋ごうとしても浦和の守備網にはまり、ボールを回収。前半30分ごろまでで、支配率60%という展開に出来ました。
データだけでいえばプラン通りの展開であったと思いますが、17分に黒川の突破から酒井がイエローを貰い、FKを宇佐美に決められ先制点を許しました。その後29分に、カンテの振り向きシュートで同点に追いつきました。
この同点弾は外に張った敦樹から、ラフにカンテにパス。トラップからシュート。安居が裏へ走っていたのもあってか福岡の寄せが甘く、シュートチャンスを与えてくれました。

浦和が引いた前半の15分間

前半30分以降は浦和が自陣に引いて守るターンに。
最初のプレスは4-4-2で前からプレスに行きますが、引いて守る際は、ボールサイドのSHが最終ラインに入り一時的に5バックになります。それでいて、1人目が抜かれても、すぐにカバーのとれる位置にいるので中を崩されることはほとんどありませんでした。

39:55は特にチャレンジ&カバーが利いたシーンで、左サイドで小野がカットインし、中央に侵入してきましたが、最後までシュートコースを空けず、岩尾、敦樹は構えるだけで獲ることが出来ました。

10人でも変わらない『やるべき事』

前半の流れであれば後半の45分で決着をつけることが出来ると思ったのですが、49分~59分の10分間によるVAR確認により、カンテがレッドカード。1-1の状況を残り40分間10人で戦わざるを得ない状況となりました。
浦和は、関根・小泉を下げ、高橋とリンセン投入。4-4-1というフォーメーションにはなりましたが、やることは変わらず。今まで通りの守備組織を継続しつつ、それでいてどこかで『一発』ぶち込んでやろうという姿勢を見せました。
その守備時の全員のタスクですが、前提として、1人1.5人分の稼働をしなければなりません。特に走らなければならなかったのはSHの高橋と安居でした。
リンセンの第一優先はアンカーの監視で、行けるならCBにプレスをします。
ですが流石に1人でCBとアンカーを見ることは不可能なので、CBに少しでもストレスを与えるために、SHもプレスに出ていきます。そして、高い位置を取るSBにもついていく。それでいて、裏を取ってくる選手に対しては、SBと役割を交換しながらついていく。
なかなか集中力も必要ですし、走力、持久力も必要な守り方でした。
特に右サイドを攻められ続けましたが、そのサイドの酒井はイエローを貰っており、安居は体力に限界を迎えそうで、クロスを上げさせてしまうことが増えました。ここで本領発揮したのは、西川・ショルツ・ホイブラーデンの最強達。さすがJ1最少失点の立役者といえる最後の砦でした。

そんな中68分、待望のあの男のゴールが。
10人ながら自陣から繋ぐことを選択した浦和は、岩尾と安居のショートパス交換から、宇佐美を中へ連れてきて、そのスペースにリンセンが降りてくる。ここにはCBが付いてきたので、リンセンはターンで剥がすことに成功。

リンセンのドリブルで山本をつり出し、ここぞというタイミングでオーバーラップした岩尾へ。3vs2の状況に。
相手は2人なので外に開く敦樹と高橋。岩尾が選択したのは敦樹で、それと同時に高橋がペナルティエリアに侵入。敦樹の最高のクロスから、高橋の最高のヘッド。移籍後・J1初ゴールがこの状況で生まれました。これにはスコルジャ含めたベンチも感情爆発でしたね。

その後また守りに徹しつつ、一発を狙っていた浦和に84分、追加点。
相手のビルドアップのミスを逃さなかった安居&リンセン。

最後に

前半は浦和が試合をコントロールしていましたが、ちょっとしたことで失点。それでも追いつくことはできたので、後半も継続すれば勝てると全員が思っていましたが、カンテの退場で難しい展開に。
それでも守備陣形と『やるべき事』は変わらずに、浦和のこれまでの自信とプライドを持って2点を取り、逆転勝利となりました。さすがに興奮した。お尻が浮いた。
これで3位浮上。1位神戸とは6p差。2位マリノスとは5p差。4位名古屋とは2p差。あと6節。その中で上位対決は神戸と鹿島。まだ優勝の可能性はあります。怪我人続出でなかなか難しいですが、あきらめず。『やるべき事』は変わらず。

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