ドラマ アンサング・シンデレラ 第9話 解説とツッコミ

 今晩は。


1.薬の過量投与

 処方薬を過剰に服用することをオーバードーズといいます。
昔から医療の現場では珍しくないことだったので、安全性を高める方向に薬剤の開発が進んでいっています。個々の薬によって量は違いますが、飲みきれないぐらい多くの薬を飲まないと命に影響がないように設計されている薬もあります。体から薬を出す方法として胃洗浄が上げられますが、苦しいです。

薬の過剰摂取で入院している人を一般の病棟に入れることは考えにくいです。薬から遠ざけるのが第一なので、薬剤師が矢面に立つことは考えにくいです。ましてや、持参薬を患者に見せるという行為は非常に危険です。
 劇中の人物は、発作的に薬が飲みたくなって依存してしまっているようすです。

 意図していろいろな医療機関で薬をもらおうとする人は、お薬手帳をわざと持ってこなかったり、併用薬を確認する質問に嘘を答えます。将来、すべての医療機関の処方情報を現場で把握できるようになったら、「データに載せないで」と言いそうです。現在進んでいるオンラインによる資格確認ではレセプトとして出された情報のみ閲覧できるので、情報が2ヶ月遅れることになりますし、そもそもこの制度を使うのを拒否すると考えられます。


処方箋の偽造は有印私文書偽造罪(もしくは有印公文書偽造罪)です。
地域の薬局では処方箋偽造が疑われる事例を共有しています。
 偽造処方箋=精神に働く薬、というわけでもありません。

 状態が安定していなかったり、自分や他人に危害を与える危険性のある患者さんは、精神科の病棟もしくは精神科病院に入院すると思われます。危険なことをしないか常に観察をする必要があるからです。閉鎖病棟と呼ばれるところに入院するのは、若い人だけではなく、認知機能低下により他人への攻撃性を増した高齢者のこともあります。

 劇中で娘を連れて行っていましたが、時期が早すぎるのではないかと思いました。そして、病室を開けるのが薬剤師なのも不思議。この場合は看護師です。中の様子を確認してから開けましょう。


心療内科と精神科では担当する範囲が異なります。両方見られるのですが、精神疾患に対する印象が悪いので、精神科という名前を大きく出さず、「メンタルクリニック」「こころの診療所」といった名称のところも少なくありません。

https://www.mhlw.go.jp/kokoro/support/medical_1.html

 薬剤師の当直の人数はあまり多くありません。ゆえに、調剤室を空にすることがあります。当直時間帯は薬剤部の出入り口を一つにする、薬を病棟に持っていくときは鍵をするなどのセキュリティがあると思われます。



 育児ノイローゼになったのは、社会から孤立してしまったことが一つの原因と思います。彼女の救いの綱は「見捨てられないこと」「孤立しないこと」と思われます。
 劇中で、みどりがノートに治療計画を書いているとありますが、治療計画を建てるのは医師で、正確には治療計画に沿った薬物治療はどういうものか、といったことです。その治療計画の中で起こり得ること、良い兆候悪い兆候がどこに出るのか、治療計画を修正する必要性のある兆候はなにかを各医療スタッフが把握することは大事です。的確な情報を、的確なタイミングで医師に報告する。ただ闇雲に報告すればいいものではない。


チーム医療では判断をし、全体の指示を出すのは医師ですが、全体的な方針、指示を出す役割が医師である、という立ち位置です。
 既存の医療では、医師が他の医療職に指示を出すという「医師が一番偉い」という形になりがちです。(そうした方が患者が医療側の言うことを聞くという傾向もあるからなんですが)高度化すると、すべてを医師が見られるわけではないし、患者やその周辺の情報を正確に把握できればできるほど正確な診断につながる(逆に言えば、正確に把握できないと治療が間違ったものになりやすい)ので、正確な診断をするための情報収集・提供(他のよく似た傾向を示す疾患との区別ができるように)をするのが医療チーム(患者や患者家族を含めた)の仕事です。

 ときに、他のスタッフが見つけた所見で得られた手柄を全部自分のものにしてしまう医師がいますが・・・・


 瀬野さんが「最後まで仕事をする」と言っていましたが、確実に引き継ぎをする必要があるので、最後まで主体的に業務を行うとまずいのではないでしょうか。

治験担当の薬剤部副部長の七尾さんが最後に微笑んでいました。この微笑みに関してSNSでは色々憶測を呼んでいます。個人的見解では、瀬野さんの母親の件でも七尾さんは治療に関わっていて、そのときにできなかったことをしようと思っているのではないかと想像しています。あと2話で悪いことができるほど尺がないという非常に夢のない理由もありますが(汗)
 悪い人に見えるのは、演じている池田鉄洋さんの顔の作りにあるのではないかと思います。これはどうしようもない。


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