見出し画像

1月23日 生配信 uBraids (Mutable Instruments Braids Micro Clone) 【Flute with Modular】


電圧でコントロール可能なモノフォニックデジタルサウンドソース

⬆︎こちらのリンクで1月23日 20:00より配信します。

音楽はどこから?

前回取り上げたMorphageneのように、エフェクター的に音を加工するのは、今まで取り組んできた音楽の延長線上にあるので、無理なくスタート出来たのですが、今回紹介するu Braids のようにオシレーター的役割のものは、どう扱ったら良いか、最初は全くわかりませんでした。

発音の仕組み

アコースティックの演奏は、自ら身体を響かせて発音する音からスタートします。その事について深く考える事もないぐらい当たり前の事ですが、「一音入魂」という言葉があるように、一つの音を身体と呼吸を使ってどのようにコントロールしていくか、という事は徹底的に取り組みます。

生み出す音の出発点が自分の身体である事。この身体感覚が返って邪魔をして、電子音楽の面白さに気が付くのが遅れてしまった、という事も実際あると思います。

電子音楽の身体感覚

では、電子音楽に身体感覚がないかというと、全く そうではなくて、身体の中でも特に脳の仕組みに近いのでは、と思っています。フルートで音を鳴らそうと思った時、

1.身体を音を出せる体制にして、
2.呼吸をコントロールして、
3.呼吸が楽器を通って初めて空気が振動した時、

このプロセスを経て生まれた音の瞬間が、音楽の始まりだと思っていたのですが、モジュラーをはじめてから、空気が振動した瞬間ではなくて、「この音を出そう」と思った時、その思考の瞬間が音楽の始まりだと思うようになりました。ただフルートを手にするだけでは音は鳴りません。「こんな音を生み出そう」というイメージしないと、音が鳴らない。つまりイメージした時にはもう音楽がはじまっているのです。

思考の順序

モジュラーの場合は、「こんな音を生み出そう」という思考そのものにアクセスして、操作・コントロールが出来ます。では、そのコントロールの前段階、モジュラーに触るまでの思考はどうなるの?という事ですが、まだモジュラーを思い通りにコントロール出来た事がないので、この事に関してはまたいずれ、分かる日が来たらお話させてください。完全にコントロールしきれないランダムさがまた、モジュラーの魅力でもあります。人間は脳のキャパシティをフルに使っていない、と言いますが、ランダム性によってその無意識の領域にアクセスできるのも面白いですね。

Mutable Instruments Braids

Braids とは

さて、今回ご紹介するu Braidsは、Mutable Instruments のBraidsのマイクロクローン。 Mutable Instrumentsのオープンソースやクローンに関してはこちらの記事に書きましたので、興味のある方はご覧ください。

Braidsは45種類のサウンドソースを持つマクロオシレーター。オシレーターとは音の波形そのものを生み出す装置です。45の音色の各合成モデルは、クロスフェーダー、モジュレーター、フィルター、ディレイラインを組み合わせた独立した組成をもっていて、全ての音色がTimbreとColorという2つのパラメーターでコントロール可能です。

初期導入で必須モジュール

今の私のフルートモジュラースタイルは、基本的には発音の始まりはフルートが多いので、オシレーターがなくても音楽を作る事が出来ますが、全てユーロラックで完結する場合は、おそらくオシレーターは必須アイテムなのだと思います。

逆に自ら発しない音をコントロールする事を私にとって未知の領域。Braidsの解説をアップしてくださっている動画は色々ネットにありますが、皆様一様に、Braidsは思いつく全ての音色を生み出す事が可能とおっしゃっています。

話は飛びますが、フルートの神教則本で、ペーター・ルーカス・グラーフの「チェックアップ」という全てのフルーティストが通過するべき本があって、その中でロングトーン(持続音)の減衰に関して、練習の注意書きの所にこう記されいます。

まず、一番大きな音量と強さで初め、各人好みのヴィブラートを用います。一様にディミヌエンドしながら、ダイナミクスのすべての段階とあらゆる音色の全てを経て極限のピアニッシモまで到達します。
ペーター・ルーカス・グラーフ  フルートテクニックの総点検(チェックアップ) より

学生の時、この文章を読んだ時、どれだけ心が、ときめいたか!「ダイナミクスのすべての段階と、あらゆる音色を経て到達する極限のピアニッシモ」この音を体験出来たら、死んでも良いと思って、未だに日々練習を重ねています。

減衰・ピアニッシモの所は当てまはりませんが、「あらゆる音色」の所はおそらくuBraidsに共通する所だと思います。未だ聞いた事のない全ての音色。それをコントロールする鍵が手中にあるなんて、なんて幸せな事でしょう!

呼吸を通さないで音を生み出し、音色を自在にコントロールする事は、私にとって、完全に次のステージです。これをどう、フルートと組み合わせるか、どうぞご期待ください。

こちらは、uBraidsに出会った頃の記録動画。フルートの生演奏の音をエンベロープフォロワーでトリガーとして使用しています。あとはモーションセンサーでパラメーターをコントロールしているのと、グリッサンド・ヘッドジョイントも良い仕事してます。

チャンネル登録、リマインダーの設定もお忘れなく☺️


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?