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バランスよく「てんびん棒」をかつぐ~日本講演新聞

新聞なのに、ニュースは載せない”日本講演新聞”が、今週も、心揺るがす情報をお届けします。

 なんと、あの伝説の企業研修映画『てんびんの詩(うた)』が、PHPから漫画本になった。

 「下手なビジネス書を100冊読むより『てんびんの詩』を観ろ」と言われるほど、その手の研修会で使われてきた。

 「私財を投じてでも伝えたいことがある」と、映画制作にあたり資金援助したのは(株)イエローハットの創業者・鍵山秀三郎氏だ。

 『てんびんの詩』は、近江商人の魂を描いた映画である。
時代は大正13年の春。
近藤大作という13歳の少年が旧制小学校を卒業した日から、この物語は始まる。

 彼は豪商・近藤商店の長男で、本人も友だちも、卒業後は八幡商業に進学するものと思っていた。
しかしその日、父親が卒業祝いにと、くれたものは30個の鍋蓋だった。

 「明日からこれを売ってこい。よう売らんようなら跡継ぎにはなれん」というのだ。

 思わぬ贈り物に憮然とする大作だったが、近藤商店に出入りするお得意さんなら買ってくれるだろうと安易に考えて床に入った。

 翌朝、日の出前に母親から叩き起こされた。
「人様が働きに出はってから訪ねても何にもなりまへん」と叱咤され、丁稚(でっち)の着物を着せられて送り出された。

 「近藤の息子です」とあいさつすると、皆愛想よく迎えてくれるが、「鍋蓋、買うてくれ」と言うと、皆「要らん」と言った。

 「おまえんとこを出入りさせてる近藤の息子が買え言うてんのや!」と、親の威光を振りかざしたが、逆に「ぼん、商いというのはな…」と説教される始末。
その度に「二度と来るか!」と捨て台詞を吐く大作だった。

 次に、やり方を変えた。
知らない家に飛び込み、笑顔と揉み手でへこへこ媚びて売ろうとした。
そしたら「このガキ、気色悪い!」と追い出された。

 その次は「これ売らんと、帰って継母にひどくいじめられます」と、同情させて売ろうとした。
たまたま近藤家の遠い親戚の家だった。
家の主人に「情けないやっちゃ。売りたいばっかりに嘘ついて親を悪者にするとは」と激怒され、ぼかすか殴られた。

 一つも売れないまま3か月が過ぎた。
大作は最後の手段に出た。

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