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【千載一遇のチャンスを掴むには】~日本講演新聞

日本講演新聞は「感動の共感を世界中に」をモットーに、全国の講演会を取材し「感動した!ためになった!元気になった!」そんな心を揺るがす話だけを記事にし、読んでくれた方の人生がより豊かなものになることを願って、毎週月曜日(月4回)、全国に発行しています。
noteでは特に人気がある水谷もりひとが書く社説をご紹介します。
「チャンスを掴むのは自分」とか「チャンスを逃すな」とか言われますが、どこにチャンスが転がっているの…? そんな方にちょっとしたアドバイスです。

ー千載一遇の瞬間を逃がさないためにー

 宮崎空港3階ギャラリーで開催されている土屋幸博さんの写真展を覗いた。

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 夜のしじまに満開の花を咲かせる桜の木の写真があった。向こう側にライトがあるのだろう。桜の木は後ろから強い光を浴び、暗闇の中で輝いていた。胸がときめいた。まるで舞台に立って喝采を浴びているスターのようだった。

 売れない下積みの時代を潜り抜け、千載一遇のチャンスをつかんでやっと舞台に立った少女が、観る人に「私を見て!」と語り掛けてくる。スター誕生の瞬間である。写真はそんなオーラを放っていた。

 霧島連山・韓国岳にかかる雲に度肝を抜かれた。口を開けて山の頂を飲み込もうとする龍の横顔を思わせる雲だった。ちょうど太陽が龍の目になって光っていた。数秒でも時間が前後していたら誰も見ることができない千載一遇の風景を土屋さんはカメラに収めた。

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 「この1枚と出会うために僕のカメラマン人生はあったと言ってもいい。僕の葬式の時、遺影の横に飾るつもりです」と『雲龍』という写真の前で語っていた。

 『故事ことわざ辞典』によると、「千載」の「載」は「年」の意味で、「遇」は「思いがけず出くわすこと」。すなわち「千載一遇」とはご承知の通り、「千年に一度訪れることがあるかないか、それほどの絶好の機会」という意味である。

 だから辞典の記述はこう続く。「この機会に恵まれたら誰しも歓喜せずにはいられず、この好機を逃がしたら誰もが嘆かずにはいられない」と。

 自然相手のカメラマンたちはまさしく千載一遇の瞬間瞬間に命を刻んでいる

 先週号から安藤誠さんの記事が続く。講演記事を掲載するにあたり、彼が撮った写真を載せなかったら意味がない気がした。しかもカラーをモノクロに加工したらもう彼の作品ではなくなる。そんなわけで本紙史上初のカラー写真にした。

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 安藤さんの写真集『Ordinary Miracle(日常の奇跡)』の中に『シアンの匂』という作品がある。「シアン」とは、インクジェットプリンターでお馴染みの「シアン/マゼンタ/イエロー」の「シアン」だ。ギリシャ語で「暗い青」という意味である。

 「日本では古代から同系色相の濃淡で表現することを匂(におい)と呼んでいる。上質のシアンがあざやかに美しく映える様を匂と表現したかった」と、安藤さんはその写真にコメントを添えている。「その写真」とは1面を飾った「星空カヌー」の写真である。↓↓↓↓

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 コメントはさらに続く。「音楽のように高まる静寂は、ガイドが細心の注意を払って漕ぐパドルからこぼれる滴の音で一層優しい緊張が広がる」「時々現実なのか夢なのかと疑ってしまう時間と風景が、この北海道には、まだある」と。

 安藤さんはウィルダネスロッジ「ヒッコリーウィンド」のオーナーである。「ウィルダネス」とは「人の手が入っていない大自然」とか「野生」という意味だ。昨年、北海道の鶴居村に安藤さんを訪ねた時、一瞬ひるんだ。彼自身が「ウィルダネス」のオーラを放っていたからだ。

 前出の写真集の中で安藤さんは、カラフトマスを獲ろうと山から知床の川に下りてきて、偶然再会した2頭のヒグマの兄妹がじゃれ合う写真に、「絶対に残さなければならない風景」と添え書きしている。これも千載一遇の瞬間をとらえた写真だろう。

 ウィルダネスの中に身を置く安藤さんに触れ、話を聞いていると、自分を含めて大自然からどんどん遠ざかっていく人間がとてもひ弱な生き物に思えてくる。  

 そういえば冒頭に紹介した土屋さんも「県内の獣道はほとんど知っています」と話していた。何日もウィルダネスな世界で寝起きしている彼も、千載一遇の風景を見逃さない。

 実をいうと、千載一遇のチャンスは日常の中に溢れている。取り逃がさないためにも、時々ウィルダネスな人や作品に触れて野生の感性を呼び戻しておいたほうがいい
  (みやざき中央新聞 魂の編集長 水谷もりひと 2018/05/21号社説より)

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