夏休みの伝承調査
大学の夏休みを利用して、青年・田中修一は山奥の村へと向かっていた。この村には古い伝承が数多く残っており、それらを研究するための調査が目的だった。修一は山道を歩きながら、ふと視界の端に大きな狐が現れたのを見た。狐はまるで彼を迎えるかのように一瞬立ち止まり、次の瞬間には消え去っていた。
村に到着した修一は、まず村の神社を訪れた。そこには美しい妙齢の女神主が待っていた。彼女の名前は彩花(さいか)といい、厳かな雰囲気を纏っていた。修一が調査期間中に神社での宿泊を依頼すると、彩花は快く了承し、神社の一角にある部屋を貸してくれることになった。
村は静まり返っており、彩花以外の村人の姿は全く見られなかった。修一がそのことを彩花に尋ねると、彼女は「村人は忙しいのでしょう」とだけ答えた。その素っ気ない態度に少し違和感を覚えながらも、修一は調査を進めていった。
数日が過ぎ、調査期間が明日で終わろうとする最後の夜、修一は彩花と夕食を終えた後、外から聞こえる笛や太鼓の音に耳を澄ませた。まるで村祭りのような賑やかな音色だった。気になって外に出ると、狐のお面をかぶり、白い着物をまとった彩花が現れた。彼女は微笑みながら「祭りをご覧になりますか?」と修一に声をかけた。
修一が祭りを見ようと一歩踏み出すと、突然目の前が暗くなり、気がついたときには部屋の布団の上に横たわっていた。どうやら夕食に薬を盛られていたようだ。修一が体を起こそうとするが、全身に力が入らない。そこに彩花が現れ、微笑みを浮かべながら修一の衣服を脱がせ始めた。
外から聞こえる笛と太鼓の音に合わせて、彩花は着物を脱ぎ全裸になると修一の上にまたがり、腰を振り始めた。音色が最高潮に達すると、修一は何かを絞り出すようなうめき声を上げ、彩花の中で爆発するかのように弾けた。笛と太鼓の音はその後も強弱を繰り返し、修一は音色の強弱に合わせて彩花の中で何度も何度も弾けた。
夜が明ける頃、修一は体力を使い果たし、まるで死んだように深い眠りに落ちていた。目覚めると、部屋には誰もいなかった。昨夜の出来事が現実だったのか夢だったのか、修一は混乱しながらも、山を下りることにした。
山を降りて村のことを尋ねると、その村はかなり前から無人だと言われた。驚愕する修一は、昨夜の甘美な出来事が頭から離れなかった。翌年も再びこの村に訪れることを心に誓ったが、その時には、山道で見た狐の数が増えているだろうと不思議な予感がしていた。
修一は村の伝承に深く関わることとなり、次の夏休みを待ち望むようになった。その先に待つものが何であれ、彼は再び彩花と再会することを決意していた。
[おしまい]
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