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徒然なるままに

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うたかたの詩作です。
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#ポエム

後 いくつもの

人生が一本の平らな線ならば 私は その周りを浮遊する不完全な点だ 脱線するのが良くないことは 子どもの頃 覚えた 途中で降りることもね いろんな色に誘われ いろんな形に憧れ それでも無色透明でいようとガンと張る まるで地雷を踏まれることは恐れ避け通る不発弾みたいに 後いくつの 心に響く音に会えるだろう いくつ 私を支える物語に会えるだろう この先 何人の人に出会え 言葉をかわし 心を通わせ  身体を交わし 愛し合うのか 何度自分を見失い 又、見直すのか いくつ

ふたりの距離

あの日 一羽の鳥が導いた 僕らの風景は 動画から静止画へ キミが二時間前に作った チキンを温めながら 胃袋に消化するまでの12分 それでも 時間は止まらずに 中心点を軸に グルグル回る いつの間にか 僕の胃袋は 機能不全 異物を受けつけない キミだけしか知らない僕も居る 僕だけが知ってるキミだって 只、 これ以上でも これ以下にも ならない 何も生まれなければ 何も失うことも ないだろう

ふたりのカタチ

昔 道ばたで見かけて 購入した一枚の絵 二人で 決めた これが その 一枚だったのか そうでなかったかは わからない それが二人にとって どれくらいの価値があるかも でも僕らは その絵を 部屋の一番広いスペースに置いて 毎日眺めた いつからか 他の生活空間や 物質にその絵は 埋もれていった 他にも新しい絵を購入したり 新しい本や 違う漫画や テレビなんてモノもあったり 一枚しかなかった その絵は 「多くの中の一つ」へと変化していった 君は 相も変わらず

空模様

もしも 明日が晴れならば わたしとあなたは 手を繋ぐ もしも 明日が曇りなら 詰まらない話を聞かせるわ もしも 雨が降ったなら あなたは わたしの膝で眠るでしょう もしも 夜中に嵐なら わたしの肩を抱きしめて そして 雨が上がったら わたしとあなたは  歩きだす

I'm swimming you

乾いた心と 湿ったカラダ 浮遊する感情を 弄びながら わたしは魚 あなたの掌の中で 泳がせてほしいの

not disturb

「君の人生を邪魔しないから」 言おうとしてた台詞は シンクロして 先に言われてしまった そんな互いの思いやりを 嬉しく感じたり ほんの少し 切なさを覚えたり 受話器の向こうの君の声は無色透明 君の 強さと 優しさと 弱さが 好き

no clue

A子 C美 F枝 J子 M里 Y子 ... いくらデートを重ねても 探しているものは 見つからない 僕はきっと あの頃の君に  また 出会いたいんだ 君の中にでさえ もう 視ることができない あの頃の 君に

君からの手紙

君からの手紙は いつも半分はその返事が無いから なんだか其れが あたり前になってしまった そんな何処かを彷徨ってる君が 僕にはなんだか 心地がよくて 5回に3回は 放っておく そんな君から 思いもかけない問い 「ワタシヲスキ?」 君が言うように 君を好きと いったなら もう  誰かに嘘をつくことになる そんな僕を君はまだ愛せるというのかい? まだ僕を 愛せるというのかい…?

「我儘」

君は冷たい 私は 君を見ている 君は 前を向いている こっちを向いてほしい ときどきで、いいから でも君は そっけない 君は驚くほどクールだ だから私は容赦なく 熱くなれる でも君は とても優しい 君の書いた文字がそう言っている いや それも 哀しいほど 冷たいのだけれど 私は何を信じればいいのかな 君の自由は 私を不自由にする

「防御」

「期待しすぎは良くないよ」 期待しすぎると 後で結局 落胆することになるから って言ってる自分に 落胆する 嗚呼、いつから 僕はこんな 自分を守ることしか できない奴に なったんだろな 誰かのために 捨て身になったり みっともなくてもいいから 何かに夢中になったりって 格好いいよな..

三年越し

変わらない君の日記は わたしを安心させる 三年前の今日 君はやっぱり あの場所にいたし 同じ空を眺めていた 君は いつも自分の世界に棲んでいて たいてい私の話を聞いてないから 私たちの過去は テープの逆再生なんてする必要もない たとえ今日という日が特別な日だとしても そして昔読んだ物語が始まるように わたしが登場して 君と出会った

「毒」

満月の夜は 訳もなく 心が騒めくから 手探りで 覚えた タバコの味で 喉を乾かした いつまでたっても 曖昧なあなたに 嫌気がさしたから もう一度して これで最後にしよう と言いました 初潮のとき見た あの鮮やかな血の色に 意識が飛んだその瞬間 毒を刺すことで 心の平静を 保ってた 全ての欲が動きだしそうで 苦しみが心地よさに変わるとき 清廉潔白な心と 身体と 私

「見せかけの」

みんなを笑顔にするために僕らは 歌って踊って笑います なんて言ってる アイドルなんて クソくらえ って言ってた自分が ふいにラジオから流れてきた あの昔聴いた 軽薄な歌に 救われるだなんて ああ 「頭空っぽ」って言って馬鹿にしていた自分は 頭を空っぽにするってのは そう 悪いことではないのかと納得してみたり いやなこと 辛いこと 全部掘り下げて考えるよりは 自分は深く痛みが解るなんて 勘違いしていた自分より よっぽど痛々しくなくって よっぽど救われる存在かもしれない

"nothingness"

君は空。 限りなく、境もない。 君は波。 絶え間なく、寄せては返す。 でも君はそこに存在する。 「ここは確かに自分の居場所だ」と、主張する。 カタチが消え、 ディテールが失われた白と黒の間に。 けれどそれは意味など成さない。 言葉を発しようとすれば、視ることはできない。 沈黙を守れば、口開き、 口を開けば、押し黙る。 君は砂。 その手に掴もうとしなければ、得ることができ、 得ようとしなければ、失うことはない。 余計なものを削ぎ落