マガジンのカバー画像

徒然なるままに

50
うたかたの詩作です。
運営しているクリエイター

2018年4月の記事一覧

ふたりの距離

あの日 一羽の鳥が導いた 僕らの風景は 動画から静止画へ キミが二時間前に作った チキンを温めながら 胃袋に消化するまでの12分 それでも 時間は止まらずに 中心点を軸に グルグル回る いつの間にか 僕の胃袋は 機能不全 異物を受けつけない キミだけしか知らない僕も居る 僕だけが知ってるキミだって 只、 これ以上でも これ以下にも ならない 何も生まれなければ 何も失うことも ないだろう

ふたりのカタチ

昔 道ばたで見かけて 購入した一枚の絵 二人で 決めた これが その 一枚だったのか そうでなかったかは わからない それが二人にとって どれくらいの価値があるかも でも僕らは その絵を 部屋の一番広いスペースに置いて 毎日眺めた いつからか 他の生活空間や 物質にその絵は 埋もれていった 他にも新しい絵を購入したり 新しい本や 違う漫画や テレビなんてモノもあったり 一枚しかなかった その絵は 「多くの中の一つ」へと変化していった 君は 相も変わらず

空模様

もしも 明日が晴れならば わたしとあなたは 手を繋ぐ もしも 明日が曇りなら 詰まらない話を聞かせるわ もしも 雨が降ったなら あなたは わたしの膝で眠るでしょう もしも 夜中に嵐なら わたしの肩を抱きしめて そして 雨が上がったら わたしとあなたは  歩きだす

90 Minutes love

90分という時間は 与えるには 足りなくて 求めるには 持て余した わたしは 君の名前さえ 知らない ただ君の腕の産毛が柔らかいこと 声が優しいとだけ知っている わたしが 君の処へ来る訳は 私が 私で無くなるから だのに、 君は いつも わたしを 思い起こさせる 昼も夜もない 薄暗いあの部屋で その術を知っていれば こんな気持ちにもならなかった まだ髪に 君の香りが残ってる 煙草の匂いがした

春の嵐

春の嵐が 淡い花弁を奪う 午前零時 抜け出したのは 君の声が聞きたかったから 目を瞑って 言葉じゃない 吐息を感じるほどに 車のシートにもたれ 身を委ねながら 君に 抱きしめられる 今 ここには居ない君と 溶け合いながら

夏なのに

君は 間違いだ といった 私は それでも構わない といった 「待つのは嫌だから忘れることにするよ」といった 私は それは勘違いだよ といった あの日 夏なのに風邪っぴきだった 裸足のままの 君と