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走る人

アウェアネス・リボンを知っていますか?

世界各地で着用者が社会運動、もしくは社会問題に対して、さりげない支援や賛同の声明を出す方法として使用されている(wikipedia)
リボンもしくはリボン型のアイテムです
いちばんポピュラーなのは乳がん啓発のピンクリボン🎀かな

今日は私がアウェアネスリボンを買ったお話です

まだ私が若かった頃、同じ職場にOさんという女性がいた
とても可愛い女性で髪の毛は短く切っていて
ボーイッシュでそれがまた愛らしかった
おっとりした性格で優しい話し方で
一緒に仕事をしていても
とても癒される存在だった

朝、会社への道でときどき彼女を見かける
いつも軽やかに走っている
とても痩せていて
それ以上痩せると身体に悪いんじゃないかと思うけど
彼女はダイエットするという。
走って通勤する人なんて、他にはいないから
面白い人だなって思ってた

仕事中に会話してて
彼女が日傘を買いに行く話になった
彼女は日傘が欲しいのだけど
可愛いデザインのものしかなくて
買えないという
とても可愛い彼女だから
可愛いデザインでいいはずなのに
彼女は可愛いものは避けているらしい

自社ビル完成のパーティがあった時
パーティに飽きて
私と彼女ともう1人の女の先輩と三人で
別のフロアを見に行った

いつもおとなしい彼女は
お酒を飲むとすごく明るくなって
曇ってたガラスに落書きを始めた
マンガチックなそのキャラクターは
とても可愛いくて
彼女の純粋な心を表していた

そのころお昼休みには
みんなで外に食事に行っていた
彼女と話をする事はそれほどなかったけど
彼女がそこにいるだけで心が癒された

そんなちょっと変わってるけど可愛い彼女に私はだんだんと好意を抱くようになった

それで、ホワイトデーに向けて
ちょっと奮発して買ったお菓子と一緒に
Oさんの事が好きですという手紙を書いて用意した
ホワイトデー当日、出社できなかった私は同僚にお願いして
それを彼女に渡してもらった

次に職場で彼女に会った時
とても落ち込んだ様子の彼女は
声もかけられないほどの状態で
部屋のすみに小さくなっていた

私は怖くて声をかける事が出来なかった

昼休みの外食も
彼女は違うお店に行くようになった
そんな状態が1週間ほど続いたある日
お昼休みに彼女がいたので
一緒に食事に行来ませんか?
と誘ってみた
彼女は行かないと言う

そして語り始めた
私、車の免許を取ることにしました
人の車に乗れないんです
昔、車に連れ込まれた事があって
それから車が怖くて…
でもそんな私でもやっと免許が取れるようになりました

ほら、行くよ!
同僚の言葉に、私は会話もろくに交わさないままその場を離れた

昔、彼女の身に何があったのか
彼女のあの落ち込み方は
そういう事だったのか

彼女が可愛いものを身に着けない理由
彼女がボーイッシュな髪である理由
そして彼女がいつも通勤で走ってる理由
そんな事を考えた

その時、私は若かった
愛する人は純粋な身体でいて欲しいとか
考えていた

いや、それ以上に
彼女が心に負ってしまった傷を
癒してあげられるだけの力がなかった
もしも付き合う事になっても
彼女を守るどころか傷つけてしまうのではないかと思った

それからしばらくして
彼女と同じ職場で働く事もなくなり
彼女に会う事すら出来なくなった

自分の力不足とわがままで
彼女につらい思いをさせてしまった事を
後悔している

あれから時がすぎて
私もいろいろと変わった
もしももう一度会うことが出来たならば
あの頃の事を謝りたい

そんな気持ちを再び思い出させてくれた
ももち麗子さんの漫画 「ひみつ」

https://comic-days.com/episode/10834108156639532177

これを読んで彼女の事を思い出した
彼女に会えない今
自分に何かできる事はあるだろうか?

私は紫色のアウェアネス・リボンを購入した

紫色のリボンは女性に対する暴力の排除
暴力にあった人を助ける事も
慰めることすら出来ないかもしれないけど
気持ちだけでも表したい


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