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京都あれこれ ひとつめ

「新京極通は知ってますやろ?」
「四条通から三条通までの間の寺町通の一本東の通りでっしゃろ? 昔も今も修学旅行生がぎょうさんお土産買いに来てはりますがな」
「そや、ほな何であそこが新京極通というか知ってはりますか?」
「そんなん知りませんわ。わてが生まれた頃はもう新京極通なんやさかい、知らんでも何にも困りまへんわな」
「そんな言い方したら話し終わってしまいますがな」
「何や、わてと話したいんどすか」
「そういうわけやおまへんけど、黙ってここにいるのも退屈でっしゃろ」
「ホンマに暇やもんなぁ」
「そやから答えてえな」
「何で新京極通か、どすか?」
「そや、新と付くぐらいやから、京極通か、旧京極通があってもええと思わへんか?」
「そう言われればそうやけど……。あんさん、そんなこと考えて毎日暮らしてますのか?」
「そやあらへんけど、退屈しのぎですわな。ほんで答えは?」
「さっきも言いましたやんか、そんなん知りまへんがな。答え教えてえな」
「実はな、わても知りまへんのや」
「なんやそれ。そやけど答えが分からんとなると、ちょっと気になりますなあ」
「今度先生に会うたら聞いとくわ」
「何やそんなオチかいな」
「オチがないと関西人はうるさいさかいなあ」
「わても京都人やさかいオチはいりまへんで」
「話しついでに新京極についてもう一つ不思議があるんやけど」
「まだありますのんか、しゃあないお付き合いしまひょ。それは何ですのん?」
「三条通を歩くと河原町通と新京極通と寺町通はそんなに離れてへんやろ」
「そうですなあ、歩いても2~3分ですわな」
「ほな何で新京極だけあんなに坂なんや?」
「坂?」

三条新京極東向き

「京都の街は基本的に北の方が高く南に低いのは知ってますわな?」
「土地の値段もそうですわな」
「土地の値段やのうて、標高の話ですがな、一説によると千本北大路の交差点と京都タワーのてっぺんが同じ高さっちゅうことやで」
「そんなに違いますのか」
「調べた訳やおまへんさかい、一説によるとやで」
「誰かの受け売りですかいな」
「ほんで坂のことやけど」
「そう言われれば河原町と寺町は道は平坦に感じるくらいやのに、新京極だけ三条に向かってえらい上りですわな。寺町と新京極の間なんて店数件程度しか離れてへんのやけどなあ」
「そうでっしゃろ、何でやと思います?」
「どうせこれも知りまへんのやろ」
「ご明察、これも先生に聞きまひょな」
「話ししたのはええけど、なんか逆にストレスですやんか」
「先生がいてくれはったら、すぐに解決するんやけどなぁ」
「どうせ暇なんやし、先生探しに行きまひょか」
「どこにいてはるか分かりまへんで」
「そやから探すんでっしゃろ、どこにいてはるか分かってたらそこへ行けばよろしんやんか」
「探して見つかりますのか」
「それは作者次第とちゃいますか」
「えっ?」

つづく


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