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JR上野駅公園口

この本もまた逆輸入的に読んでみたくなった本のパート1。

全米図書賞を受賞されたというこの本を、アメリカ人はどう読んだのだろうか。

どんな内容なのかな…とは気になっていたものの、買って読むまではな…と失礼ながら思っていた。

読んでみたら、おもしろいというのとは違って、なんて言ったらいいのか魂が震えるというのが正しいのか、読んでよかったことは確かだ。

「人生は、最初のページをめくったら、次のページがあって、次々めくっていくうちに、やがて最後のページに辿り着く一冊の本のようだと思っていたが、人生は、本の中の物語とまるで違っていた。文字が並び、ページに番号は振ってあっても、筋がない。終わりはあっても、終わらない。」

淡々と自分の人生を語られていくのと反対に、こちらの心臓はバクバクと大きくなっていく。読んで動揺している。

切な過ぎる。不器用過ぎる。世の中理不尽過ぎる。

行き過ぎた資本主義、格差社会… 弱いものに冷たい社会。そのうえ自然災害までも襲ってくる。

世の中には、ツイている人っている、その反対にツイてない人もいる。そこには、どんな線引きがあるんだろうな。

「・・・打ち明け話の類は一切したくなかった。
ただ、酔いで悲しみの方向に押し流されないよう細心の注意を払っていた。
捨てることのできない過去の思い出は、みんな箱にしまった。箱に封印したのは、時だった。時の封印の付いた箱は開けてはいけない。開けたら、たちまち過去に転落してしまう。」

私も最後は、こうなるのだろうか…と思ったが、自分は自分のために生きているところもあるからきっと生きるのだろう。
この人も、自分のために生きることがあってもよかったのではないだろうか。もっと、人に甘えてもよかったんではないだろうか。

最後、彼は目標を達成することはできたのだろうか。分かったとしても辛いだけなのだけど。

麻里の最後は、やるせない。

救いがないように思うこの話は、きっとフィクションだけではないだろうと思う。この通りとまでもいかなくても、よく似た事実はきっとあるのだろう。そんな世の中を生きることが、しんどくもある。だけど、生きている限り、人に優しく生きていきたい。

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