グッドバイ
ケラリーノ・サンドロヴィッチ脚本のグッドバイを梅田芸術劇場まで観に行ってきた。
生瀬勝久さんが演出だそうだ。
周りを見渡すと、年齢層は高めだった。
前から6番目という幸運に恵まれ、舞台を満喫できた。
残念なことに、隣が最後まで空いたままだった… 完売だったことを考えると、インフルエンザにでも罹ってしまったのかな… お気の毒にね。
舞台はかなり近かったけど、毛穴まで見える距離ではなかったよね。
それでも、藤木直人が男前なのは、よくわかった。
相手役の永井キヌ子役のソニンが、凄かった。
迫力があって、本当に上手で驚いた。
元アイドルだと思えないほど、本格派の舞台女優さんに成長してた。
ずいぶん努力されたんだなぁと、素人ながら感心した。
グッドバイは、太宰治の遺作で未完の作品だけど… どんな風に描くのだろうと期待してました。太宰作品が持つ影のようなものはなく、明るくテンポのいいコミカルな作品に仕上がっていた。
ふむ。
これはこれで楽しかった。
田島って、嫌な男だなと思ってたけど、愛されるダメ男に描かれていた。
田島は、まぁいいだろう。
キヌ子は、まず絶世の美女なんだよ。
歩いたら、誰もが振り返る美女なんだよ、しかも気品があってスタイルがいい。
そこが演出されてなかった。
田島が、キヌ子の美しい姿を見つけるシーンが抜けてたことが、不満でした。
本当のキヌ子は、粗野でガサツで…なんだけど、そのギャップがいいんだよ。
ちゃんとした服着て、化粧したら、まるで別人に変身するのがいいと思うんだけどな。
そのガサツなキヌ子を、ソニンは見事に演じていたからいいんだけどね。
それに、愛人たちがキャラクタ豊かでよかった。
生瀬さんも面白くって、笑いに包まれた舞台でした。
終わってみて、太宰だったんだよな…って。
脚本で、こんなに変わるんだ。
脚本の力って凄いな…と思わされたことと、時代が求めているものなんだな…と感じた。
劇場を出て梅田の喧騒で、あっという間に現実に戻された。
阪急あたりは、若者だらけで、私でさえ場違いな感じがした。
私の周りにいた観客たちは、もっとだろうな…と思いつつ、足早にJRへと急いだ。
もうちょっと余韻を味わっていたかったな。
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