黄金バット 決闘広島市民球場
1987年に制作されたこのアマチュアフィルムは、「ぴあフィルムフェスティバル」出品を目指して作られた広島城北高校イラスト研究会結成10周年記念作品です。
内容はチープで、主役の黄金バットはオガワゴム製のガイコツマスクに金スプレーを吹きかけたもので、ボディは黒タイツにやはり段ボールに金スプレーを吹きかけたものを貼り付けたものです。小道具としてモデルガンの発火装置を仕込んだシルバーバトンと金の折り紙で折ったコウモリが登場します。怪人鉄人コングもチープで、やはりオガワゴムのゴリラマスクの頭部に、ボディは広島東洋カープの衣笠のレプリカユニフォームで片手にバットを持たせています。
ストーリーも酷いもので、広島市民球場に設置されている衣笠祥雄の連続試合出場世界新記録記念碑周辺で爆竹を鳴らした後に二重露光を使って怪人が登場。通りかかった少女を襲うも金色のコウモリが飛んで来て黄金バットが登場し怪人を倒します。それでおしまいで、内容も何もあったもんじゃないんですが、当時の東映特撮もののカット割りをパクったというかインスパイアした戦闘シーンにはある程度のスピード感があります。
広島市民球場と広島平和公園でゲリラ撮影された映像はそれなりに楽しい映像に仕上がっています(デンジマンやサンバルカンでの山手線内のゲリラ撮影みたいな楽しさ)。
怪人は最後、原爆ドーム前で爆発して果てますが、このシーンは原爆ドーム前の写真にセルに描かれた爆発シーンを重ね撮りしたものです。
黄金バットも怪人を倒した後に平和公園の鳩に襲われて骨だけになりますが、このシーンは全身に鳩の餌を貼り付けて撮影されたものです。今の鳩が間引きされる前の公園の鳩の獰猛さはヒッチコックの「鳥」も真っ青です。
BGMは渡辺宙明の「ビデオ戦士レザリオン」からの流用です。
結局、この作品は「ぴあ」に出品されることもなく封印され広島城北の文化祭で数度上映されただけで終わりました。
監督は私の従兄。少女役は私の姪。黄金バットのマントの縫製は私がやりました。私がマントだけだけど、スタッフ参加した数少ないアマチュアフィルムの一本です。
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