男が人を笑わせたいと思う理由
皆さんは「笑わせる」ことと「笑わせられる」こととどちらが好きでしょうか。
実はこの質問に対する回答は男女間で偏りがあるのです。これは研究でも明らかになっていることで、男性は笑わせることを好み女性は笑わせられることを好む傾向があるようです。 また、新聞や雑誌のアンケートなどで好きな男性のタイプにユーモアのある人という回答が上位にくるように、女性が男性を選ぶ基準にユーモアさがあることが本能に刻まれているように感じます。進化心理学の研究ではユーモアが上手い人は知性と創造性に優れており、女性はそれを見分けているとされているが、恐らく違う(実際これに反論する研究もあり、ユーモアに知性は重要ではなく単に外向性が高さが関係しているという結果が出ている)。
十数万年前のある同時期、地球上には複数の人類種族が存在していました(肌の色違いというレベルではなく、体形や形質が大きくことなる種族)。元をたどれば同じ猿人から分岐した種族ですが、進化により新しい種が生まれたあとも絶滅することなく、ある時期まで共存していたようです。
しかし、今現在我々の種族しか地上に存在しません。他の種族は絶滅し我々だけが生き残った理由は、伝聞による話(物語)を信じる能力があったからとされています。これは1人の体験を複数人に共有することができるという大きな利点です。なぜなら環境が目まぐるしく変化した時代では、個人で手に入る情報だけでは全てに対応することは出来ません。こうして他の種族は絶滅していったのでしょう。
当時の祖先にそのような能力があったということは、当然物語を語る人がおり、また、どのように語ることができるか能力が問われたことでしょう。何故なら「話が伝わらない」し、「人の心を動かすことができない」ということは死に繋がるからです。
例えば、ある一匹の私達の祖先が未知との遭遇をし、それは恐ろしい捕食者ではあったが命かながら対処し、弱点も発見出来たとしましょう。その祖先は自分の群れに帰ると捕食者ついて語り、今度はみんなで力を合わせて狩りに行くことを説得しなければなりません。何故ならその捕食者は放っておけばいつ襲ってくるか分からないし、仕留めれば食料にもなる。だけど一人じゃ倒せないから仲間の協力が必要なわけです。
では、多くの仲間の協力を得るためにはどのように説得する必要があるでしょうか。
自信を持って威勢良く話すのは最低限の必要だとして、「バカ真面目に話した」場合と「ジョークを交えて話した」場合とでどちらが人をより多く動かすことができたしょう。
例えば、
【バカ真面目に説得した場合】
「敵は大きな牙をもっていて、一瞬でも気を抜けば命を落とすだろう。だが心配する必要はない。背後からみんなで一斉に掴みかかり首根っこを抑えれば捕らえることができるはずだ!みんな油断せずに挑もう!」
【ジョークを交えて説得した場合】
「いやー、マジヤバかった!オレのイチモツと同じくらい長い牙を持っていて、マジ死ぬかと思ったわーw ただアイツ背後がガラ空きで、一斉に掴みかかって首根っこキュッ!てやればイチコロやと思うわw ささっ!みんなで懲らしめてやりましょ!」
話の信憑性や頼りになる・裏切らない信頼性という点では真面目に説得した方が高いと思います。ただ複数人の力を借りなければ倒せないような獲物に挑むにあたって一番重要なのは一人の信頼性より、個人それぞれが命の危険性がある獲物に対して挑む勇気が出せるかどうかということではないでしょうか。
何故なら、いくら信頼性があって強靭な肉体を持っていたとしても、種族として弱い人間が一人の力で強力な猛獣に打ち勝つことは出来ないので、どんなに威勢のいいことを言ったって死ぬときは死にます。「この人に付いていけば大丈夫」と他力本願で付いていった者は、そのリーダー諸共アッサリやられてしまっていただろうし、そもそも「信頼はできるけど危険だからヤダ!」って断る人が大半だったでしょう。
私が思うに、個人の勇気を出させるのに重要な働きをしたのが、ジョークだったのではないでしょうか。
上記に示した例のように、自分たちより強いであろう敵をジョークによって貶め、取るに足らない存在であること知らしめた上で笑いに転換することで、死ぬかもしれないという不安を払拭し立ち向かう勇気を出させたのではないでしょうか。
冒頭で述べたように、男性が「笑わせられる」より「笑わせる」方を好む理由がわかったような気がしませんか?
女性がユーモアのある人を好むのも、ユーモアにより群れを引っ張っていける能力を本能的に見抜いていると考えることもできますが、女性は男性より不安やストレスを感じやすいので、笑いによってそれらを和らげることができる人を好むと考えた方が自然な気がします。
ジョークによって笑わせる上で重要な働きをしたのが「表情」でしょう。人間は表情から相手の感情を読み取り、ミラーニューロンにより自身も半ば強制的に同じ感情を疑似体験します。これは相手の気持ちを考えましょう!という優しい気持ちから発生したものではなく、他者が体験した苦難を乗り越えた物語を自身に起きたことのように疑似体験することで、その者と同じパフォーマンスを発揮するシステムとして出来たものでしょう。
笑っている人を見ると自分も釣られて笑ってしまうということは、皆さんも体験したことがあるはずです。統率者が敵のことをジョークで笑いに変えると一人がクスクス笑い出し、それに釣られて周りも笑い出す。表情による笑いの伝染が群衆の統率を円滑にしたことでしょう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?